2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24720375
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
森 正人 三重大学, 人文学部, 准教授 (10372541)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 近代性 / 地理 / 四国遍路 / 物質性 / 移動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は近代において地理学や観光において地理情報が蓄積されていく過程を明らかにした。本研究で使用した地理的「知」はこうして蓄積された地理情報が、制度化され、応用されたものであることを意味している。 本研究では具体的には、日本旅行文化協会が発行した月刊誌「旅」、日本修学旅行協会が刊行する「修学旅行」、そして遍路同行会が発行した「遍路」といった雑誌類の記事収集を行いながら、観光、学校制度、宗教的巡礼において、近代的な地理的な知が制度化されていく実態を解明した。これらの資料は、国立国会図書館、東京都立図書館、日本修学旅行協会などを訪問して収集した。 三カ年にわたる本研究では、最終年度に至るまでにもいくつもの発表を段階的に行ってきた。初年度と第二年度にはイギリスのダラム大学にて英語圏の地理学における知見を積極的に吸収するとともに、英語圏の地理学における文化地理学の大家であるマイク・クラング教授と意見交換を重ねることで、国際的に通用する議論の素地を形成した。また、その間に得た知見は、学術書、一般書として公表してきた。 最終年度には、国際学会での発表、国内の学会での発表、そして一般書の刊行を行った。また、英語論文と日本語論文の刊行も行った。これにより最終的には本研究の成果を、国内外の学界だけでなく、一般市民に対しても広く公表することができたと考える。 今後の課題は、近代的な地理的知が、戦後の日本社会においてどのように再制度化されたのかを明らかにすると同時に、そうした議論を国際学会において理論化することである。
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Research Products
(8 results)