2014 Fiscal Year Annual Research Report
近現代中国憲法における「市民」の概念的・実態的検討
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24730019
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
石塚 迅 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (00434233)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 公法学 / 基礎法学 / 憲法 / 中国 / 市民 / 憲政 / 言論の自由 / 公共圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近現代中国憲法における「市民」について、概念面と実態面から解析する研究の試みである。 研究計画最終年度である2014年度は、2012年度、2013年度に収集・整理・解読した資料・データを用いながら、研究成果の発信・公表の準備を進めた。同時に、2012年度、2013年度の資料・データの収集の作業において、不足している部分、新たに必要とされることが明らかになった部分については、収集の作業を継続した。 研究成果の発信・公表については、「人民代表大会的権限強化還是違憲審査機制的導入(邦題:人民代表大会の権限強化か違憲審査制の導入か)」、「国際人権条約と中国」等、積極的に学会・研究会発表を行い、質疑応答・討論を通じて問題認識の深化に努めるとともに新たな知見を獲得した。現在、それら学会・研究会報告をふまえて、複数の論稿を執筆中である。 資料・データ(図書、雑誌、新聞、法律法規、案例、電磁的記録等)の収集の継続については、主として日本においてこれを行ったが、2015年3月に中国・北京市を訪問し、国家図書館における資料・データの収集、現地の憲法・人権法研究者や個人工商業者へのインタビューにより、不足している部分の補充を行った。また、2014年7月に中国政法大学軍事法研究所の李衛海副教授を山梨大学に招聘し、中国の市民生活と密接に関連する軍事法と治安法の概要および課題について、有益な資料および情報の提示を受けた。 研究を進行させる中で、1.中国においても「市民」が実際に勃興しつつあること、2.そうした「市民」の勃興に対して中国政府・共産党が強い警戒心を抱いており様々な管理の手段を講じようとしていること、3.憲法学者は立憲主義的政治改革を希求・構想し、民主主義へは懐疑の眼差しを向けていること(後者において、憲法学者の立場は中国政府・共産党と同床異夢にあること)等が明らかになった。
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