2014 Fiscal Year Annual Research Report
障害者教育法におけるインクージョンと適切性の概念について
Project/Area Number |
24730048
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
今川 奈緒 茨城大学, 人文学部, 准教授 (60509785)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 障害児教育法 / インクルーシブ教育 / 合理的配慮 / インクルージョン / 特別支援教育 / IDEA(アメリカ合衆国障害者教育法) / 無償かつ適切な公教育(FAPE) / 最も制限のない環境 (LRE)の原則 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果として、まず、2014年5月24日に日本社会保障法学会・第65回春季大会のシンポジウム「転換期にある障害者法制の課題と展望」 において、「障害児教育における合理的配慮の射程」と題する報告を行った。本報告は、2013年の障害者権利条約の批准、学校教育法施行令の改正をうけて、インクルーシブ教育は、日本の障害児教育法制の法原理となったと考えられるが、それを構成する、「共生・包摂」と「適切性」の理念のとらえ方の相違から、制度改革が混沌としたものとなっており、現在日本において想定されている仕組みのもとでは、その実現が困難であるとの指摘を行ったものである。アメリカの障害児教育法制を素材として、インクルーシブ教育、教育における合理的配慮、差別禁止アプローチのあり方について検討を行ない、日本におけるインクルーシブ教育、合理的配慮の理念の特殊性、実現可能性について考察を行った。本報告は論文として、社会保障法30号(2015年)に登載された。 次に、日本の障害児教育法制の現状についてまとめたものとして、菊池馨実=中川純=川島聡編著『障害法』(成文堂、2015年)「第8章障害と教育法」166-184頁(織原保尚氏との共同執筆)、荒牧重人=小川正人=窪田眞二=西原博史編『基本法コンメンタール教育関係法(別冊法学セミナー)』(日本評論社、2015年6月刊行予定)学校教育法78条-82条[特別支援学校関連]を執筆した。 最後に、児童自立支援施設において、軽度の発達障害等をかかえる児童が起こした性的暴行事件について、札幌地裁平成24年9月26日判決判時2170号88頁(第一審)、札幌高判平成25年10月18日判例集未掲載(控訴審)の評釈を行い、法的な観点から、施設等の責任について検討を行った。本評釈は、賃金と社会保障(2015年刊行予定)に登載される予定である。
|
Research Products
(6 results)