2014 Fiscal Year Research-status Report
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24730146
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
バールィシェフ エドワルド 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (00581125)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 第一次世界大戦 / 国際関係 / 日露関係 / 軍事協力 / 対外政策 / 帝国主義 / 外交 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度において、今まで収集できた資料や研究成果に基づいて、第一次世界大戦期の日露軍事協力を対象にした実証的ないし総括的な研究を継続できた。研究成果の一部は、サンクトペテルブルグの砲兵・工兵・通信兵軍事史博物館が5月14-16日に開催した国際学術会議で公表された。さらに、本年度になってからは、島根県立大学の紀要『北東アジア研究』第25号に「第一次世界大戦期における日露関係における武器供給問題(1914年8月~1917年3月)」(The Issue of Armaments Supply in Russo-Japanese Relations during the First World War)が刊行されたほか、『ロシア・ユーラシア経済と社会』第984号(2014年8月)には「第一次世界大戦とロシア」という特集、そして『軍事史学』第50巻第3・4号併合(「第一次世界大戦とその影響」という特集)では二つの拙稿が掲載された。 以上のように、2014年度において、新資料を生かした論考を執筆・公表することができたほか、第一次世界大戦とロシアという大きな課題に焦点を当てながら総括的な論考をも発表した。さらに、5月にサンクトペテルブルグの国際会議に参加する傍ら、モスクワ・サンクトペテルブルグの公文書館等で資料収集を行い、3月にはロンドンのナショナル・アーカイブズなどで資料収集・閲覧を成功裏に実施し、研究プロジェクトの方向性や発展性を一層具体化させた。それによって、新資料を活用すると同時に、研究テーマの新たな側面の分析に着手し、研究課題の理解を十分に深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度において、ロシアの諸公文書館等で補足的な史料調査を行ったほか、ロンドンの英国国立公文書館(The National Archives)やUniversity College Londonスラブ東欧研究院図書館等で研究に欠かせない史料を成功裏に手に入れた。日本、ロシアという両国側のほかに、当時世界最強の帝国であったイギリス側の史料を閲覧・調査することによって、同時代の国際関係をより立体的な形で把握しうるであろう。調査の結果、重要性のある資料群を新たに特定し、大幅に研究することができたので、今後も研究プロジェクトを計画的に継続・完成できるという目途がついた。本年度中、第一次大戦期の日露軍事協力の具体的な側面あるいはこの世界史的な意義について考察したいくつの研究成果が発表されたのも、その証拠にほかならない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究プロジェクトの最終年度には研究史料の整理・分析をさらに推進するとともに、研究成果の総括を行う予定である。「日露兵器同盟」の背景にあった財政問題や金属供給などといった、今まで光を当てられなかった両国間の軍事協力の側面に注目すると同時に、こうした軍事協力への英仏といった他の連合諸国の関与度合いを明確化していきたい。なお、ロシアやイギリスの公文書館では十分に調査できなかった資料群がいくつか存在するので、必要に応じて、イギリス、ロシアや日本国内の公文書館で史料調査を補足的な形で行う予定である。学術モノグラフに向けた作業を加速化する。
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Causes of Carryover |
本年度の研究は主に当初の研究計画どおりに進められたが、職場環境の変化などによって海外調査をする時間が十分になかった。この状況を考慮しながら、当初の計画をやや修正して、次年度で使用したほうが有利であると判断し、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究プロジェクトの最終課題はモノグラフの執筆・出版であるため、研究の進み具合や世界的な研究動向等から、最終年度に研究費を多めに残すことが有益であると判断した。それは文献購入費や補足的な史料調査費として効率よく使うことができると考えている。
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