2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
安井 大真 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (30584560)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究の目的は、寿命の延長が家計のライフ・サイクル行動にどのような変化をもたらすのか、さらにはそのような家計の行動の変化と経済成長がどのように関わり合うのかを理論的に分析することである。とりわけ、教育量、子ども数、引退時期に与える影響について、それぞれの間の相互作用についても考えることができるような経済成長モデルを構築することが中心的な課題である。 既存研究においては、寿命の延長は、生涯における労働期間の延長を意味し、それが家計の教育投資量の増加につながって、経済成長が促進されるということが示されてきた。しかし、現実世界においては、寿命の延長と同時に引退の早期化が観察されており、生涯における労働期間は延びていないという点で、既存研究の理論的予測と現実的に観察されている現象との間には矛盾があった。そこで、そのような矛盾を解消できる理論モデルの構築を目指した。 平成24年度においては、上記のような矛盾を解消しうる経済成長モデルの枠組みを完成させた。そこでは、寿命の延長、出生率の低下、教育投資量の増加、引退の早期化が同時に説明可能であることが示された。とりわけ、引退の早期化が含まれている点は、既存研究が抱える矛盾点を解消するものである。また、そのような基本的な結果が各種の拡張に対してどれだけ頑健であるのか、またはどのような変更をすると結果が変わるかについて確認作業を行った。具体的には、自分への教育投資をするだけでなく、子どもに対しても教育投資をするようなモデルへ拡張したとしても結果が変わらないなど、多くの先行研究が試しているような拡張に対しては概ね頑健であることが確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的な枠組みを完成させて、その枠組みの各種拡張に対する頑健性を確認した上で、論文として完成させることが平成24年度の計画であった。 実際に平成24年度においては、基本的な枠組みを完成させて、その枠組みの各種拡張に対する頑健性を確認した。そして“Adult Longevity and Growth Takeoff”というタイトルの論文にまとめて、神戸大学大学院経済学研究科のディスカッションペーパーとして公開した。ほぼ計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に完成させた論文を下に、基本的なアイデアを踏襲して新しい論文の執筆に取り掛かる。 平成24年度に行った研究では、動学システムを解析的に導くことに関心があったので、効用関数には扱いやすい形のものを仮定するなど、家計の意思決定に関してはかなり強い仮定を置いた。今後は、家計の意思決定をもう少し掘り下げて分析していく。解析的な分析だけでなく、シミュレーションや実証分析も適宜行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は平成24年度にシミュレーションを行う予定であったのでソフト代として計上していたが、平成25年度にシミュレーションを行うことに変更したので、そのソフト代を平成25年度に使うことにした。
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