2013 Fiscal Year Annual Research Report
人的資本形成における学校教育と学校外教育の効果に関するミクロ計量分析
Project/Area Number |
24730256
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
安井 健悟 立命館大学, 経済学部, 准教授 (80432459)
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Keywords | 学校教育の収益率 / 人的資本 / 賃金分布 |
Research Abstract |
個人の生産性を引き上げるという経路を通じた、教育がもたらす賃金の割増分の程度(以降、教育の収益率)を推計することは、人的資本の蓄積、経済成長、賃金格差などを考える上で重要であると同時に、高等教育に対する財政的な支出をどの程度行うべきかを含む教育政策のあり方を議論するためにも重要である。 本研究の第1の目的は、学校教育の収益率を各分位(各賃金層)で推定し、その収益率が世代によってどの程度異なるのか、また分位によりどの程度異なるのかを確認することである。1982-2007年の就業構造基本調査の個票データを用いて、欧米の既存研究と同様にクロスセクション・データを用いると、欧米諸国と同程度に学校教育は賃金格差を拡大させていることが確認された。また、低賃金層における教育の収益率は低下傾向を持つことも確認された。しかしながら、サンプルを若年層に限定するとそのような傾向は観察されず、中高年層においてそのような傾向が顕著であった。つまり、中高年層においては、教育が賃金格差を拡大しているといえる。また、若年層のサンプルでコホート別の分析を行ったところ、コホート間で大きな違いは観察されなかった。 この分析結果を論文にまとめ、多くの研究会で報告し、現在、査読付学術雑誌に投稿する準備をしている。 日本においては学校教育の収益率についての研究が乏しい上に、どの世代においても収益率は同じであるという強い仮定のもとで推定されてきたが、本研究は世代別の収益率を推定している点が第1の貢献である。第2の貢献は、教育の平均的な効果だけではなく、賃金分布のどの部分にどの程度の効果を持つのかを明らかにし、学校教育は賃金格差を拡大させるのか縮小させるのかを明らかにした点である。 第2の目的は学校外教育の収益率を推定することだが、因果的な効果を推定するための適切な操作変数が見つけられず、妥当な分析結果が得られなかった。
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Research Products
(5 results)