2012 Fiscal Year Research-status Report
キャッシュフロー・データを用いた日本の資産価格の実証分析
Project/Area Number |
24730287
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Okayama Shoka University |
Principal Investigator |
山根 明子 岡山商科大学, 経済学部, 准教授 (60580173)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ファイナンス / キャッシュフローリスク |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本の株式市場における資産価格に関して、企業の配当などキャッシュフローに関する長期データを用い、株式収益率の動きを説明することである。平成24年度には、本研究のテーマである企業のキャッシュフローと資産価格の関係に関する文献渉猟、実証分析に用いる株式ポートフォリオ収益率データの作成および財務データの整理を行った。 文献渉猟を通じて、企業のキャッシュフローの流列が資産価格に影響を与えており、このことがバリュー株のプレミアムにも関連している可能性があることが明らかになった。また、高頻度のデータを用いた分析では、代表的な資産価格モデルである資本資産価格モデルや消費資産価格モデルは棄却されているものの、データの頻度を変え、より長期のデータを用いてリスクを評価した場合には、これらのモデルに対する評価は改善される可能性があることが明らかになった。 データセットの整理・作成においては、まず、個別銘柄の日次収益率データから月次収益率、年次収益率データを作成した。次に、配当や純資産などの財務データについては、連結決算のデータが存在する企業については連結決算のデータを優先的に使用する形で単独決算、連結決算のデータを組み合わせたデータを作成した。最後に、本研究において分析対象とする資産である株価純資産倍率で分類されたポートフォリオを作成し、ポートフォリオ収益率の基本的な性質を確認した。その結果、株価純資産倍率の値には持続性があり、ポートフォリオ組み換えから5年後の値についても、ポートフォリオ間における株価純資産倍率の大小関係が維持されていることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実証分析で用いるデータの整理・作成は、株式の個別銘柄のデータを扱うためにデータ数が非常に多く、予想以上に時間を要した。また、財務データについては連結・単独の別があるために整理に手間取った。文献渉猟については、これまでの研究での蓄積もあり、効率よく進めることができた。全体でみればおおむね予定通りの達成度となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究では、データの作成に予想以上に時間がかかったため、早い時点での研究打ち合わせや研究会報告が実施できなかった。平成25年度以降は、実施できなかった研究打ち合わせや研究会報告を実施し、その後、当初の研究計画に沿って引き続き研究を行っていく。具体的には、平成24年度に作成したデータセットを用いて、キャッシュフローに関するリスク指標を作成し、そのリスク指標と株式収益率との関係を分析する。そして、十分な分析結果が得られた後に論文としてまとめ、セミナー・学会等で報告し、他の研究者からのコメントをもとに改訂を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、平成24年度に実施できなかった研究会報告や研究打ち合わせを行い、その後当初の研究計画に沿った研究を進めていく。
|