2012 Fiscal Year Research-status Report
汎用性の高い技術におけるイノベーションの発生のプロセス
Project/Area Number |
24730308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
清水 洋 一橋大学, 大学院商学研究科, 准教授 (90530080)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イノベーション / 技術変化 / 汎用性の高い技術 / 産業構造 / 日米比較 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは、汎用性の高い技術(General Purpose Technology)において、イノベーションが基幹技術において起きるか、その技術の応用先で起こるのかを、産業構造のあり方から明らかにすることを目的としている。 具体的には、①半導体レーザー、②スーパー繊維、③工作機械のケースを取り上げている。それぞれ企業の研究開発の末発表された論文と特許のデータを構築し、長期的な視野で産業構造とイノベーションのあり方を分析している。また、それぞれの分野で量的な調査を補完するために、インタビュー調査を行なっている。 半導体レーザーに関してはデータベースの構築は既に終了し、その分析も概ね終えている。平成24年度は、研究発表を行うとともに、投稿論文の執筆を進めてきた。インタビュー調査も順調に進んでおり、平成24年度終了時点で累積で115件の聞き取り調査を終えている。 スーパー繊維に関しては、データベースの構築を進めている最中である。スーパー繊維と言ってもそこにはさまざまなものが含まれるので、分析対象とする技術領域の特定をインタビュー調査において行った。研究実施計画の予定通りに、半導体レーザー、スーパー繊維のケースに関して、平成25年度に国際学会で発表する計画である。工作機械に関しては、インタビュー調査を進めているが、技術領域が広範であるため、絞り込みが必要であるということが分かった。そのため、他の事業領域に分析の対象を移す、あるいは計画通りに半導体レーザーと繊維の事例の対比において分析を進めることを現在検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
汎用性の高い技術(General Purpose Technology)において、イノベーションが基幹技術において起きるか、その技術の応用先で起こるのかを、産業構造のあり方から明らかにすることが本研究の目的である。具体的には、垂直統合の程度が高い企業間の寡占的な競争が続くと、イノベーションは基幹技術において生み出されやすく、スタートアップ企業のような垂直統合の程度が低い企業が数多く存在する競争的な市場での競争の場合には、汎用性の高い技術のアプリケーションにおいてイノベーションが生まれやすいという仮説を、半導体レーザーとスーパー繊維を中心的な事例として国際比較を通じて、検証する。 半導体レーザーとスーパー繊維の事例の分析に関しては、極めて順調に進展している。半導体レーザーについては、データベースの構築は終了し、分析と論文の執筆を進めている。スーパー繊維に関しては、インタビュー調査を進めながら、データベースの構築を行なっている。この2点については当初の計画通りに進展している。ただし、半導体レーザーとスーパー繊維に加えて、分析を予定していた工作機械についてはインタビュー調査から技術範囲の絞り込みが必要であるが、日米比較をするためにはより綿密な調査が必要になることが分かった。そのため、「研究が当初計画通りに進まない時の対応」に従って、半導体レーザーと繊維の事例の分析の焦点を当面絞ると同時に、工作機械の調査を少しずつ進めるとともに、他の分析事例の探索も行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、半導体レーザーの日米の技術発展の軌道と産業構造の間の関係についてのケーススタディを完成させ、論文として投稿する計画である。スーパー繊維に関しては、インタビュー調査を続ける一方で、構築中の特許・論文のデータベースを完成させる。データベースを基に技術発展の軌道を分析するとともに、ケーススタディの執筆を開始する。 平成26年度にはイノベーションの中心的な国際学会であるInternational Schumpeter Societyで発表するための準備を進めるとともに、それぞれのケースをまとめ日米比較を行ったものを国際ジャーナルへの投稿も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)