2012 Fiscal Year Research-status Report
日本中小企業のタイでの国際連携による企業発展と国内外産業集積への影響プロセス
Project/Area Number |
24730356
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
関 智宏 阪南大学, 経営情報学部, 准教授 (40434865)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際連携 / 中小企業 / 発展 / アライアンス / 国際合弁 / 価値共創 / 国際情報交換 / ケース・スタディ |
Research Abstract |
今年度は、タイでの国際連携をつうじた企業連携のプロセスとして、兵庫県尼崎市の自動車の試作中小メーカー(N社)のケース収集を行った。この企業は、日本ではアドック神戸という中小企業経営者の異業種連携組織に所属しており、タイでの事業展開を模索するために、連携組織での海外視察を繰り返し行っていたが、チュラロンコン大学サシン経営管理大学院日本センター(SJC)とコンサルティング契約を締結し、現地実地調査を行っているところである。 研究代表者である関は、N社の経営者だけでなく、SJCの代表とも信頼関係を構築しており、双方から、国際連携をつうじた日本の中小企業のさらなる発展に寄与するために、N社進出にかかるタイでの現地活動の情報をタイで収集してきた。一連の情報収集をまとめ、国際連携にかかる理論的視点から、「中小企業の国際連携をつうじた企業発展のプロセス―タイに進出しようとする日本中小企業をケースに―」をまとめ、日本中小企業学会にて報告し、査読論文として学会誌に所収された。 その他の実績としては、第1に、国際連携にかかる理論的視点を深めるべく、広島大学大学院社会科学研究科の村松教授とも数回接見し、価値共創のアプローチが有効との視座を得たため、この視点にかかる各種文献を収集することができた。第2に、タイの上場企業とまさに国際合弁を締結する日本中小企業に出会うことができ、そのケースを収集するため、この案件にかかわっている日本中小企業、またそれを支援する現地のアドバイザーともタイで交流を深め、情報を集めることができた。第3に、タイ進出を志向する日本中小企業のなかには、チャイナプラスワンが主たる理由である企業が多く、それゆえ中国をはじめベトナム、インドネシアなどタイ周辺諸国に進出しようとする日本中小企業のケースとの比較検討の必要性を感じることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の「研究実績の概要」に記したように、2012年度には、国際連携をつうじてまさにタイに進出使用とする日本中小企業のケースをまとめることができた点以外に、次の3つの実績を達成することができた。第1に、国際連携にかかる理論的視点として、価値共創のアプローチが有効との視座を得た。第2に、タイの上場企業とまさに国際合弁を締結する日本中小企業に出会うことができ、そのケースを収集する段取りを行うことができ、実際に情報を収集することができた。第3に、タイに進出(しようとする)ケースとの比較検討の必要性を感じることができた。 しかしながら、実際のタイにおける日本中小企業のケースそのものの収集は、かなり困難を極めた。これはタイの経済情勢が極めて良好であり、日本中小企業のタイ法人が日々の業務に追われ、インタビュー調査に協力していただきくいためである。実際には、2012年度にて収集できた日本中小企業のケースは数件であり、十分ではない。しかもそのなかで質的な分析を行えるだけの十分な情報を得ているケースは2件しかない。 また、タイへの進出をどう捉えるのかについて先に検討したことから、帝国データバンクの協力を得て、統計的数値の整備を行うことに時間を要した。 最後に、タイへ進出している日本中小企業の特徴を把握するために、インドネシアやベトナムをはじめとする周辺諸国に進出している日本中小企業のケースを集めたが、このケースの収集にも時間を要した。 以上から本来タイをケース・サイトとしていながら、ケース・スタディのための実際のサンプルは数件にとどまってしまい、当初の研究の目的や研究計画で掲げたケースの数は十分に収集できないでおり、「やや遅れている」の評価が相当であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
タイへ進出している、あるいは進出しようとしている日本中小企業のケースをさらにいっそう収集するために、自治体、商工会議所/商工会、中小企業団体の協力を要請する。現時点では、研究代表者が居住したり、所属する阪南大学のある大阪府、松原市をはじめ、阪南大学が包括協定を結んでいる中小企業家同友会から協力を得ている。そこから商会を得た企業のケースを収集していく。 またもう1つの方法としては、日本中小企業と国際合弁を締結しているタイの上場企業から紹介してもらう予定である。2012年度に新規のケースとして収集することができたのは、タイの上場企業と国際合弁を締結している日本中小企業であるが、その上場企業は当該日本中小企業以外にも約20社の日本中小企業と締結している。これらの中小企業を訪問する予定である。 いずれにせよ、ケースをいっそう収集するために、タイへの訪問回数をいっそう増やす予定である。現時点では、2013年5月、7月、9月、11月の訪タイを予定している。さらに日本の各地にも調査活動を行う予定である。また、タイに進出しているケースの特徴を明確にしていくため、インドネシア、ベトナムへの訪問と、それらに進出している日本中小企業への調査活動は2012年度と引き続き継続的に行っていく予定である。 一連の研究成果はできるだけ早い段階でまとめ、積極的に学会にて発表をしていく予定である。現時点で確定している学会報告は、2013年6月のアジア市場経済学会と、7月の多国籍企業学会であり、ともに統一論題として報告する予定である。また、2012年度には日本中小企業学会査読論文への投稿だけでなく、SJCの研究者とともに『タイビジネスと日本企業』(2012年、同友館)を出版することができたが、こういった成果発表活動も継続して行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「今後の研究の推進方策」に記したように、2013年度は、ケースをいっそう収集するために、タイを中心に日本国内外フィールドワークが中心となる。タイへの訪問は少なくとも4~6回を想定しており、さらにベトナム、インドネシアにも行く予定である。さらにそうした諸外国でのケースを日本国内でも訪問し、進出による影響度合いを量的質的に調査する。以上から、収集できうるケースの目標として、約20社を目指す(タイ1回あたり旅費15万円×4回、ベトナム1回あたり15万円×1回、インドネシア1回あたり20万円×1回、日本国内1回あたり5万円×10回)。 研究計画どおりであると研究費が枯渇し支障がでるので、できるだけ学内や周辺の予算を活用する。場合によっては、外部機関からの委託を積極的に受け、旅費を負担してもらうなど工夫を行う。 さらに分析フレームワークの開発をすすめるべく、価値共創、文脈価値に関連した文献を収集する。そのための消耗品費も約15万円ほど計上する予定であるが、これについても、研究費の枯渇を予防するために、他の予算も活用する。
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[Presentation] 未定2013
Author(s)
関智宏
Organizer
多国籍企業学会
Place of Presentation
阪南大学
Year and Date
20130713-20130714
Invited
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