2013 Fiscal Year Research-status Report
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24730388
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
堀口 真司 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10432569)
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Keywords | 会計制度論 / 社会学的分析 |
Research Abstract |
「会計制度の社会学的分析に関する基礎的研究」というテーマのもと、本研究では、1980年代以降主としてヨーロッパを中心に展開されてきた、会計制度(技術および知識)の社会学的な分析に関する動向を体系的に整理し、今後当該方法を日本の文脈に応用し、その成果を海外発信していく際の基礎となるような手引書を作成することを目的として研究を進めている。 平成25年度においては、主に2つの課題に取り組んだ。1つは、会計制度の社会学的分析においてもっとも重要なテーマの一つである、フランス哲学者ミシェル・フーコーの議論が会計研究の文脈においてどのように受け入れられてきたのかについて詳細なレビューを行った。フーコーは、本研究の課題でもある、マネジリアリズム、ユーティリタリアニズム、ヒューマニズムの問題点を深く論じている哲学者であり、会計制度の社会学的分析においても一つの流派を形成してきた。本研究では、このテーマを改めて整理し、論文『フーコディアン会計研究の視座』として公表した。同論文は、本研究テーマを通底する論点を扱ったものであり、本手引書の基礎を補強する位置づけで編集する予定である。 2つ目は、日本における企業・会計制度の社会的側面に関する動向の整理を行ったものであり、'A critique of “corporate citizenship” within Japanese context'と題して、25年9月11-14日にフランスリールで開催されたヨーロッパ企業倫理学会において研究報告を行った。同研究報告の内容は、本手引書の中に具体的事例として組み込む予定である、日本の会計制度の近年の拡張傾向を分析する際の文脈として位置づけ利用する予定である。 本年度は、研究計画における第2部、第3部、第4部を整理しながら、併せて本研究方法論を具体的適用例に関する論点を整理していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成25年度内には、第2部「会計制度におけるマネジリアリズムとその相克」に焦点を当て、その整理を行う予定であったが、同テーマは第3部「会計制度におけるユーティリタリアニズムとその相克」および第4部「会計制度におけるヒューマニズムとその相克」におけるテーマと、根源的には同じ主題であることから、第1部「会計制度の社会学的分析の意義」における「相対主義的会計研究」を拡張させる形で組み込み整理することにした。そのため、第2部から第4部で扱う内容を第1部で扱うことから、本年度に取り組む内容は、当初の計画よりも進んだものとなるが、新たに当該研究方法を適用した具体例をに関わる部を追加する予定にしており、全体的に見て「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、第1部「会計制度の社会学的分析の意義」、第2部「会計制度におけるマネジリアリズムとその相克」、第3部「会計制度におけるユーティリタリアニズムとその相克」、および第4部「会計制度におけるヒューマニズムとその相克」を統合する形で手引書を作成することを予定していたが、(1)第2部から第3部で扱うテーマが、根源的には同じ主題であること、また(2)当該領域(会計制度の社会学)を推進してきたAccounting, Organizations and Society(AOS)誌が、必ずし上記のテーマの分類に従って編纂されているわけではないことから、方法論に関する分類をより当該雑誌で扱われている分類へと順応させる形で再編し(具体的には、AOS誌に準じながらフランス社会学、ドイツ社会学等に分類する)、方法論に関する説明を1部として構成することにする。また、合わせて新たに当該方法論の具体的適用例に関する部を設け、第1部「会計制度の社会学的分析の方法論」、第2部「会計制度の社会学的分析の応用」からなる2部構成の手引書を作成することに変更する。 したがって、本年度は主として第1部の取りまとめに取り組み、続く27年度は主として第2部の内容および全体の統合に取り組むこととする。なお、計画における取り組みは重点を置くという意味であり、実際には両部ともに並行しながら進めていくものとする。
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