2013 Fiscal Year Research-status Report
精神障がい者家族の支援に関する基礎研究-社会的支援への移行に向けての課題-
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24730477
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
伊藤 千尋 淑徳大学, 社会福祉学部, 講師 (50458410)
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Keywords | 精神保健福祉 / 家族支援 |
Research Abstract |
本研究は、①精神障がい者本人と生活を共にする上での悩みや苦労等、家族の主観的体験を明らかにすること、②家族自身にどのような希望があり、現実の生活では何を選択することができ、何が奪われてきたのか、家族の生活実態を明らかにすること、③これらを踏まえて、家族自身が求める“家族支援”について検討することを目的としている。 2013年度は、2009年に実施した精神障がい者家族を対象とした質問紙調査で明らかになった課題を整理し、データの背景にある家族の潜在化しているニーズを明らかにするためにインタビュー調査を実施した。インタビューの方法として、ライフストーリー法を使用することで、語り手の主観性を尊重し、家族自身の体験に対する意味づけや、人生との関連性について語っていただくことを心がけた。 インタビュー調査からは、家族が担う負担は精神障がい者本人に対する直接的なケアだけでなく、支援者として期待される心理的な負担も大きいこと、こうした心理的な負担について、家族が表出しづらい状況に置かれていることが明らかになった。家族支援を検討していく際には、ケアの社会化という視点だけでなく、家族自身が主体的に生きる権利を取り戻すための支援が求められている。 こうした家族支援の具体的な取り組みを学ぶために、英国で訪問による家族支援の援助技術を開発し、そのトレーニングを行っているメリデン・ファミリー・プログラムについて、現地の視察と佐藤純氏(京都ノートルダム女子大学)へのインタビュー等を行い、情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2009年に全国の精神障がい者家族を対象とした質問紙調査が実施されたため、本研究では研究計画・方法を大幅に変更し、データの背景にある家族の潜在化しているニーズを明らかにするためにインタビュー調査を実施することとした。 調査対象者は精神障がい者家族となるため、インタビュアーの態度、個人情報の保護など、特にプライバシーに関わる人権・倫理面に強く配慮して実施している。そのための準備として、調査協力者の選定や自由に語っていただくための関係づくり、データの確認等、時間をかけて実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
精神障がい者家族の実態について、先行研究では量的調査は実施されてきたが、質的な研究はほとんどなされていない。本調査では、データの背景にある家族の思いや希望を直接聞き取り、家族の潜在化しているニーズを明らかにする。 2013年度に引き続き、全国の精神障がい者家族を対象にインタビュー調査を実施する。ライフストーリー分析を通して、家族が語った言葉を使用しながら、家族が求める具体的な家族支援を検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2009年に全国の精神障がい者家族を対象とした質問紙調査が実施されたため、当初の計画であった質問紙調査からインタビュー調査へと研究方法を大幅に変更した。 調査対象者は精神障がい者家族となるため、インタビュアーの態度、個人情報の保護など、特にプライバシーに関わる人権・倫理面に強く配慮しながら、時間をかけて実施している。 精神障がい者家族の実態について、先行研究では量的調査は実施されてきたが、質的な研究はほとんどなされていない。本調査では、データの背景にある家族の思いや希望を直接聞き取り、家族の潜在化しているニーズを明らかにする。 2013年度に引き続き、全国の精神障がい者家族を対象にインタビュー調査を実施する。ライフストーリー分析を通して、家族が語った言葉を使用しながら、家族が求める具体的な家族支援を検討していく。
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