2014 Fiscal Year Research-status Report
終末期ケアにおける日本型「事前指示書」の開発とソーシャルワーカーの役割の検討
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24730479
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
佐藤 繭美 法政大学, 現代福祉学部, 准教授 (90407057)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク / ソーシャルワーカー / 事前指示書 / アドバンス・ケアプランニング / 緩和ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に文献調査及び国内調査、研究・論文発表を基軸に研究を展開した。 1.文献調査からは、国外の事前指示書を使用している先進地域では、終末期の医療行為に関する取り扱いのみならず、自らの生活のあり方を包括した取り決めを行うことが主流となりつつあるものの、国内においては未だ事前指示書とは終末期の医療行為の取り扱いをどのように行うかに主眼が置かれており、この差を埋める「アドバンス・ケアプランニング」に着目することが必要であると示唆された。ここでいうアドバンス・ケアプランニングとは、「将来の意思決定能力の低下に備えて、治療方針、療養について気がかりなことや自らの大切にしてきた価値観を、患者・家族と医療者が共有し、ケアを計画する包括的なプロセス」を指している。
2.1を受けて、研究論文発表を実施した。終末期ケアという発想のみならず、WHOが定義している緩和ケアの発想を、ソーシャルワーク実践でも取り入れる必要があること、それらをもとにして、アドバンス・ディレクティブからアドバンス・ケアプランニングへの発想の転換をソーシャルワーカーがより強く認識する必要があると指摘することが可能となった。
3.国内調査であるが、実際に事前指示書を作成している施設への聞き取り調査は実施し、やはり医療行為に限定した事前指示書にとどまっていることが明らかとなった。さらに聞き取りを進める予定だったが、妊娠により、一時中断した状態となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献調査ならびに研究論文発表は実施されたものの、妊娠・出産に伴い研究を一時中断したため、国内調査は実施途中である。しかし、9月には研究を再開する見通しであるため、国内調査の未実施部分は遂行可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、事前指示書を使用している病院、社会福祉施設等を調査し、再度、研究論文発表を行う予定である。また、医療行為のみに限定した事前指示書ではなく、当事者の意思や思いを含めた事前指示書のあり方にも言及していきたい。それには、これまでの研究で集められたドイツやイギリスにおける緩和ケア実践にかかわるソーシャルワーカーの行動指針などの文献が参考になると考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、妊娠・出産に伴う産前産後休暇および育児休業を取得したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年9月には育児休業が終了するため、国内調査の実施および研究論文の発表を検討している。国内調査および研究発表に要する旅費、謝金等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)