2014 Fiscal Year Annual Research Report
利用者の主体性が家族によって阻害される状況へのアドボカシー支援
Project/Area Number |
24730483
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
増田 和高 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (40596962)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アドボカシー / 家族支援 / 主体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、サービスを利用する際に、家族によって利用者の主体性が阻害されるような状況において、介護支援専門員がどのようにアドボカシー支援を実践しているのか、その実践構造と実践に関連する要因について明らかにすることを目的に行われた。研究の結果、現業の介護支援専門員は家族によって利用者の主体性が阻害されるケースに遭遇する場合が多く、支援に関する困難さを感じていたことが明らかとなった。また、当該状況を引き起こしている背景として、家族と利用者本人のコミュニケーション不足、家族介護者支援の不足が挙げられていた。こうした状況において、介護支援専門員は自らの専門職性において、利用者の権利や利益を護るために「アドボカシー支援」を行っていくことになるが、その具体的な内容として「家族に対する体系的情報提供」、「家族の感情に対する適切なケア」、「利用者本人の意思の代弁」が実施されていた。特に、「利用者本人の意思の代弁」を行う前に、「家族に対する体系的情報提供」、「家族の感情に対する適切なケア」を充実させておくことで、家族自身がこれまでの利用者との関わりを振り返り、自らの感情や思考を整理する契機となり「利用者本人の意思の代弁」をスムースに行わせていたことが明らかとなった。また、アドボカシー支援が必要になる前に予防的関わりとして、「早期段階における家族とのコミュニケーション促進」に関わること、「利用者本人の望む生活像に対するアセスメント」を充実させておくことが「アドボカシー支援」全体を円滑に進めていたことが研究より明らかとなった。 本研究の当初予定では、質的研究を中心に探索的に概念生成を試みたのち、量的研究において概念の妥当性を検討する予定であったが、介護支援専門員の所属機関による実践への影響が大きいことが研究を進めるうえで明らかとなり、詳細検討が必要という理由から質的研究でのみ分析を行った。
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