2013 Fiscal Year Annual Research Report
社会的感受性が集団的知能に影響を与えるプロセスの解明
Project/Area Number |
24730521
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
土屋 耕治 南山大学, 人文学部, 講師 (10611585)
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Keywords | 社会系心理学 / 実験系心理学 / 社会的感受性 / 集団意思決定 |
Research Abstract |
本研究は,「グループの知能」である集団的知能 (collective intelligence) を予測すると報告 (Woolley et al., 2010) された,メンバーの社会的感受性 (social sensitivity) に注目し,社会的感受性が共有目標 (shared goal) の形成と役割分化過程を促進することを通して,集団的知能に影響を与えるという仮説を検討することを目的とした。具体的には,2者が協力行動を起こす時に,「相手の意図を読み取りながら共有目標 (shared goal) を作成する (Tomasello et al., 2005)」という視点を導入し,社会的感受性が目標の共有化・役割分化を促進し,メンバー間の調整に関する「プロセスの損失」を招かないことで集団のパフォーマンスを促進するという仮説を検討した。 154 名 (3-6名×29グループ) に対し,集団意思決定課題 (合意形成課題) を実施し,その後の調査を分析した結果,感情読み取り能力である社会的感受性は,個人レベルでは,能動的行動である発言量と関連すること,また,集団レベルでは,話し合いの進め方の明確化の早さ,合意形成過程への満足度と関連している可能性を得た。 これらのことは,社会的感受性が集団意思決定のプロセスにおいて,個人のレベル,そして集団のレベルにおいてどのような特徴を持つのか,という点を明らかしたと言えよう。また,発言量との関連が示されたことにより,社会的感受性がやりとりされる情報量へ対しても影響を持つ可能性が示唆された。これらは,支援的介入可能性の観点からも一定の意味を持つと考えられる。
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