2012 Fiscal Year Research-status Report
園芸療法介入による心身機能の改善および心的外傷後ストレス低減の効果の実証
Project/Area Number |
24730566
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
事崎 由佳 東北大学, 加齢医学研究所, 産学官連携研究員 (10569578)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 園芸療法 / 被災者 / 女性 / 生活介入 / CAPS / ストレス |
Research Abstract |
本研究の目的は、生活介入前後でストレス指標にどのような変化があるのかを脳形態、心理指標、および唾液中コルチゾール濃度値に用いて、園芸療法の効果を学術的に実証することだった。24年度は、宮城県沿岸部在住の軽度PTSD症状を持つ60歳から75歳までの高齢女性39名(年齢:66.15±4.52歳; CAPS得点(生涯診断):38.46±19.40点; CAPS得点(現在症):23.21±5.51点)を対象とした園芸療法生活介入を実施した。インフォームド・コンセントによる参加同意を得た後、実験参加者を無作為に園芸介入群(20名)と対照群(19名)に割付し、2か月間の生活介入を実施した。 その結果、園芸介入群において、CAPS得点(現在症)は介入前:23.50±6.03点→介入後:6.60±5.25点と有意に低下し(p<0.01)、対照群(介入後:11.24±8.80)と有意差があった(p<0.05)。また、園芸介入群において、うつ指標であるGDS、精神健康状態を評価するGHQ、生活の質を評価するQOL等において介入後に有意な改善が見られ、かつ対照群とも有意差があった(GDSとGHQはp<0.05。QOLは心理的領域、環境領域においてp<0.01、社会的関係においてp<0.05)。 さらに、唾液中コルチゾール濃度値も介入前:2.29±2.45→介入後:1.52±1.63と有意に低下し(p<0.05)、対照群(介入後:2.95±2.19)と有意差があった(p<0.05)。これらの心理指標と唾液中コルチゾール濃度の結果から、軽度PTSD症状を持つ高齢女性に対する園芸療法は効果があることが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究の進捗状況は、脳画像データの解析が途中段階であるが、その他の結果は解析が終了しており、現在、これらのデータを元に欧米雑誌への論文投稿に向けて執筆を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究計画に則って、地域コミュニティの再構築支援としての園芸介入を実施し、園芸活動を活かした被災地域の効果的なコミュニティ支援方法の提案を目指す。 現在、実施に向けて準備を行っている段階である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度の繰越分とを合わせて、本年度の研究参加者に対する謝金、研究で使用する消耗品の購入に充てる。
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