2014 Fiscal Year Research-status Report
イメージ生成過程の脳神経基盤:イメージ情報と視知覚情報を抑制する機能の影響から
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24730616
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
本山 宏希 茨城大学, 人文学部, 准教授 (30555230)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心的イメージ / 視覚処理 / 抑制 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,1)心的イメージの生成を抑制する機能,および,2)イメージ生成中に外界からの視知覚情報を抑制する機能,について検証する。先行研究において,両機能の存在が指摘されてきたが,現段階では思弁的な推測にとどまっており,実証的にそれらの機能が存在することを示した研究はない。そこで,本研究では,両機能の実在性をを実証的に検討する。 現在まで,1)の心的イメージの生成を抑制する機能の実在性に関する実験は終わっている。ただし,その実験結果の学会発表および論文化し投稿した際に,新たな課題も浮上してきた。それは1)の実験で使用された刺激の統制についてである。実験では,快あるいは不快な名詞を呈示し,そのイメージを生成させ,快・不快イメージ生成中の脳活動の違いを検証した。その際,刺激の感情価(Valence)や感情強度は両条件間で統制してきたが,それ以外の特性(たとえば,親密度)などは統制していない。そのため,得られた実験結果が,快・不快という感情の違いではない別の特性の影響によって生じたのではないかということが指摘されたため,昨年度までに新たな刺激作成のための調査および実験を実施した。それらの結果は,昨年度中に学会発表を行い,本年度は論文化を進めてきた。 さらに,2)のイメージ生成中に外界からの視知覚情報を抑制する機能が存在するか否かを検証する実験準備を行っている。現在,刺激の選定と実験プログラムの作成は終了しており,今年度早々に実験機材を整備し,実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画2年目に,報告者は現大学への就職が決定した。そのため,2年目に研究環境が大きく変化し,当初予定していなかった研究環境の整備等が必要になった。また,研究環境の変化だけでなく,異動に伴い当初の予定をはるかに超える本研究以外の業務が生じ,現大学への異動後はほとんど予定通りに研究を進めることができなかった。 本年度は,教育・校務に割くエフォートが減少したため,本研究に十分な時間を割くことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,研究実績の概要で述べた,2)のイメージ生成中に外界からの視知覚情報を抑制する機能が存在するか否かを検証する行動実験を9月までに行う予定である。また,視知覚情報処理を抑制する機能を担う脳部位を特定するため,10月からは,fMRIを用いた脳イメージング実験を行う予定である。 fMRI装置は,北海道大学が所有のものを使用する予定である。装置の使用権利を有する北海道大学大学院文学研究科の教授には,昨年度中に話し合いをしており,現在使用についての準備を進めているところである。
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Causes of Carryover |
平成26年度は,当初の研究計画通りには研究が進まず,脳イメージング実験が行えなかった。そのため,研究計画時に想定していた,fMRI装置使用費,行動実験およびfMRI実験実施のための旅費,実験参加者への謝礼を使用せず繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は行動実験およびfMRI実験を実施する予定である。そのために,年度から繰り越し額991,958円を,研究計画時に使用を想定していたfMRI装置使用費,fMRI実験実施のための旅費,行動実験およびfMRI実験参加者への謝礼などに使用する予定である。
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