2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730621
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田中 大介 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (20547947)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 潜在学習 / 個人差 / 認知能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の刺激に共通する規則性を知らず知らずのうち、無意識的に獲得することを潜在学習という。こうした潜在能力は母語修得の基盤となっていると仮定されており、従来は個人差の少ない普遍的な能力であると考えられてきた。しかし、近年は個人差のある認知能力のひとつであると考えられている。このことは環境中の規則性を利用することにおける得手不得手が存在するということを意味する。こうした潜在学習能力の可視化・明確化は、例えば第二言語習得などにおける困難の原因を特定し、対処する可能性につながるものであり、教育現場などにもたらす波及効果は大きいと考えられる。しかし、潜在学習能力を測定する確立された指標はなく、その概念もまだあいまいなままである。さらに従来の潜在学習課題で用いられた課題は子どもを対象にした実験ができないものが多く、潜在学習を発達・教育的観点から考察することが難しかったのが実情であった。 そこで本研究では、まず子どもの潜在学習能力を測定しうる課題を作成し、その課題が小学校高学年児童から成人まで実施できることを確認した。 最終年度は50名前後の中学生および60名前後の大学生といった比較的大規模のサンプルに対して実験を実施し、これまで得た結果の妥当性を検討する研究を行った。具体的には、潜在学習課題における成績と諸認知能力および性格特性、課題に関する動機づけなどといった指標との相関を検討した。 その結果、潜在学習能力の個人差は作業記憶容量など認知能力で説明されることが明らかとなった。得られた成果は教育現場における個人に配慮した対応につながるとともに、学習場面における環境調整を行う上で有益なものとなると考えられる。
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Research Products
(4 results)