2012 Fiscal Year Research-status Report
バイリンガルの言語産出における言語選択のタイミングについての研究
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24730624
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
星野 徳子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (70609841)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイリンガル / 言語産出 / ERP |
Research Abstract |
先行研究より、バイリンガルが発話をする際、1つの言語のみを使用しようとするバイリンガルの意図とは関係なく、両言語が活性化されることが知られている。本研究は、言語産出過程のどの段階において、バイリンガルが言語選択を行うのか、言語選択のタイミングは言語の組み合わせによって異なるのかを、時間分解能に優れた事象関連電位(ERP)を用いて、明らかにすることを目的とする。 初年度の平成24年度は、用字系が同じバイリンガルの結果をもとに、用字系が異なるバイリンガル(「日本語・英語」のバイリンガル)の言語選択に関する実験を遂行するための準備を行った。これまでの用字系が同じバイリンガル(「ウェールズ語・英語」のバイリンガルと「ドイツ語・英語」のバイリンガル)の言語産出実験のデータ分析の結果、用字系が同じバイリンガルが第2言語で発話する際、使用しない第1言語は音韻のレベルまで活性化されていることが示唆された。また、先行研究として行った「日本語・英語」のバイリンガルの単語認知実験より、日本語と英語のように用字系が異なる言語の場合、1つの言語にのみ意識を向けることが可能であることが明らかになった。すなわち、用字系の異なる単語が視覚刺激として存在する時、「日本語・英語」のバイリンガルは1言語のみを活性化できるということになる。これらの実験のデザイン・結果をもとに、言語産出の3つの段階(概念、語彙、音韻)の時間軸をそれぞれ測定できるよう、実験のデザインを当初予定していたものから変更することにした。また、変更したデザインに従い、「日本語・英語」のバイリンガルの実験の刺激作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
用字系が同じバイリンガルの言語産出実験と用字系が異なるバイリンガルの単語認知実験の結果もとに、実験のデザインを修正したため、「日本語・英語」のバイリンガルの言語産出実験のデータ収集は平成25年度に繰越しになったが、事前にデザインを改良できたことで、より望ましい方向に本研究を進めることができた。また、用字系が同じ「ウェールズ語・英語」のバイリンガルの言語産出実験の1つは、その成果をバリンガルの言語コントロールを専門にした国際学会に投稿し、採択率が1割ほどの口頭発表に選ばれた。「ドイツ語・英語」のバイリンガルの言語産出実験についても、国際学術雑誌に投稿し、現在査読中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は修正した実験デザインを使い、用字系が異なるバイリンガル(「日本語・英語」のバイリンガル)の言語産出実験のデータ収集を行う。脳波実験(ERP)のデータ収集は、研究協力者が所属するイギリスのバンガー大学で3月に行う予定であるが、それに先立ち、研究代表者の本務校でパイロットとしての行動実験を計画している。行動実験の結果次第では、平成24年度に作成した刺激の改良を行い、脳波実験にのぞむ。また、用字系が同じ「ウェールズ語・英語」バイリンガルの実験結果をThe International Workshop on bilingualism and Cognitive Controlで発表し、国際学術誌に投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験データの収集を実施するにあたり、実験用のPCパソコン(25万)と実験ソフトウェアE-Prime(18.5万円)を購入する。被験者への謝金として、行動実験(900円x30人=2.7万円)・脳波実験(1800円x25人=4.5万円)、実験補助者への謝金として、行動実験(900円x30時間=2.7万円)・脳波実験(2300円x50時間=11.5万円)を予定している。また、脳波実験を行うイギリス・バンガー大学への旅費(40万円)、国際学会(The International Workshop on bilingualism and Cognitive Control)への参加費(2.5万円)を予定している。
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Research Products
(4 results)