2012 Fiscal Year Research-status Report
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24730716
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
宮崎 元裕 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (20422917)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トルコの宗教教育 / イギリスの宗教教育 |
Research Abstract |
平成24年度は研究実施計画に沿う形で、トルコ・イギリスを中心に、諸外国の宗教教育に関する情報の収集・整理・分析を進めた。 その結果、社会の多文化化の進行に伴い、自宗教だけでなく他宗教についても学ぶ多元的宗教教育のような形で、宗教教育が変化する傾向が見られることが確認できた。また、宗教教育に関する情報の分析を通して、多文化時代において異なる宗教間の相互理解を進めるために、自宗教の伝統や決まりの持つ意味を論理的に問い直し、他者に対して論理的に説明できることが重要な資質とされていることを認識することができた。異なる宗教間で価値観が衝突する場合には、自らの価値観を主張するだけでなく、その価値観を相手に伝わるように論理的に説明することが重要であり、それゆえ、自宗教を論理的に客観視し論理的に説明しようとする態度及びスキルは、宗教間の対話を進める上で重要な資質である。このことは、来年度以降の海外調査を行う際の重要な研究視点の1つとして位置づけている。 トルコに関しては、現行の宗教教育において、具体的にイスラーム以外の宗教がどのように扱われているかに注目して分析を進め、他宗教・他宗派に関する寛容が重視されていること、イスラームとの共通点が強調されていることを確認した。また、トルコの宗教教育で、そうした点が重視されている要因について考察するために宗教教育を取り巻く歴史的背景についても整理した。さらに、トルコで2012年に行われた教育改革が、宗教教育に対しても大きな影響を与える改革であったため、その改革に関する情報収集も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トルコ・イギリスを中心に、諸外国の宗教教育に関する情報の収集・整理・分析をある程度まで進めることができた。ただ、十分な分析が行えていない情報もまだ残っており、さらに分析を進めていく必要がある。 多元的宗教教育を評価する際の視点として、自宗教の伝統や決まりの持つ意味を論理的に問い直し、他者に対して論理的に説明できる資質が重視されているかどうかという視点を得ることができたことも成果である。ただ、宗教教育を通じてその資質を伸ばすことができたかどうかをどのようにして評価していくか、という評価基準の問題が生じている。また、多元的宗教教育を評価するための他の視点も挙げていくことも今後の課題である。 トルコについては、具体的に情報の収集・整理・分析を進めることができた。ただ、2012年の教育改革が宗教教育にも大きな影響を与える改革だったため、今後さらに2012年の教育改革に関する情報の収集・整理・分析を行う必要が生じてきている。特に、教育改革によって、宗教教育に新たに加えられた変更についての分析を進めることが、本研究の目的に照らし合わせて不可避である。 イギリスについても、ある程度まで分析を進めることはできたが、まだ資料の収集・整理・分析が十分な点も残っているので、研究協力者の助言をもとにさらに研究を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初の予定通り、トルコの訪問調査と調査結果の整理・分析作業、およびイギリスの多元的宗教教育の分析を中心に研究を進める予定である。トルコの訪問調査は、イスタンブールを中心に11月頃に行い、大学と初等中等学校において、宗教教科書の執筆者、初等中等学校教員と面談し、多元的宗教教育及び2012年の教育改革についての聞き取り調査と資料収集を行う予定である。トルコの訪問調査前の作業として、前年度の研究成果を再検討しながら、諸外国の多元的宗教教育に関する資料の分析を進め、多元的宗教教育を評価する際の視点を明確にしていく。 また、トルコの関連資料の分析を効率的に行うために、資料の重要箇所の翻訳を委託する。その上で、トルコの多元的宗教教育に対する分析を進め、その分析成果については、多元的宗教教育に詳しい研究協力者に助言を受けながら、分析をさらに深めていく。こうした研究成果の一部は論文としてまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費があるが、これはトルコの2012年の教育改革に関係する資料が改革直後ということもあって十分に収集することができなかったため、次年度に関連資料を収集するための研究費と資料の重要部分の翻訳費として使用する予定である。また、資料の分析状況に照らして、研究協力者に対して実際に面談して助言を得るのは、次年度に回す方が旅費を有効に活用できると判断したため、旅費としても使用する予定である。
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Research Products
(1 results)