2012 Fiscal Year Research-status Report
理科教育における言語バリアとしての「学習言語」の研究
Project/Area Number |
24730733
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
内ノ倉 真吾 静岡大学, 教育学部, 准教授 (70512531)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学習言語 / 理科教育 / 科学的探究プロセス / 比喩的言語 / メタ理解 |
Research Abstract |
本研究では、科学的探究プロセスとメタファーという観点から、理科教育における語彙と文法という言語学的次元での学習言語を解明することを目的としている。 本年度は、1.文献調査では、第一に、科学の言語論(例えば、Halliday,2004)、理科教育における学習言語(例えば、Wellington & Osboren,2004)およびESL(English as Second Language) Science(例えば、Rosebery & Warren ,2008)、第二に、科学的探究プロセスとそのメタ理解(例えば、Flick & Lederman ,2004)、第三に、教科横断的な学習言語研究(例えば、Schleppegrell,2004;バトラー後藤、2011)について、文献・資料の収集・分析を行い、研究動向を把握した。 2.国際比較調査では、ESL Scienceの実績が豊富なアメリカの科学教育改革の動向を把握した。その結果、現在アメリカでは、政府主導によるSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)教育の強化・改善が進められており、その目標の一つとして、マイノリティー(エスニシティ、ジェンダー)の子ども達の学力向上が掲げられていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際的な学習言語に関する実践・研究に関する基本的な文献を収集し、その分析が順良に進められている。また、一般的な理科教科書以外に、教科内容の学習を通じて言語能力の育成・向上を目指した教科書の収集、そしてそれの分析にも着手している。フィールド調査を実施するために、静岡県・鹿児島県において調査協力を引き受けられる学校、教師とコンタクトすることができ、調査のスケジュールなどについても打合せが進められている。 国際比較調査に関して、アメリカを訪問して、理科教育学関係者にインタビュー調査する予定であったが、都合により次年度に実施することとした。その一方で、アメリカ・イギリスなどの英語圏に限定した研究計画を立てていたが、ドイツの理科教育研究者との交流の機会があり、ドイツ語圏での情報も収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に引き続き、1.文献調査として、学習言語研究の資料・文献を収集・分析する。今年度はさらに、調査の対象を日本語教育(JSL教育を含む)、メタファー論、読み書きに関する学習障害(例えば、スノウリング、2008)、科学の言語とジェンダーの問題(例えば、シービンガー、2002)に広げる。 2.国際比較調査として、アメリカ・イギリスなどの英語圏あるいはドイツなどのドイツ語圏を訪問し、理科教育学研究者へのインタビュー調査、学校での授業参観を行う。 3.フィールド調査として、鹿児島県内の小学校・中学校での理科授業の参与観察、担当教師へのインタビュー調査を行う。また、一般的に文化資本が豊かで、学習言語の習得・活用の状況が良好な子どもが通うと想定される鹿児島大学教育学部附属小・中学校での質問紙調査・インタビュー調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.文献調査に必要となる学習言語研究の資料・文献および諸外国(アメリカ・イギリスなどの英語圏、ドイツなどのドイツ語圏)の理科教科書を収集するために使用する。 2.アメリカ・イギリスなどの英語圏あるいはドイツなどのドイツ語圏を訪問するための海外旅費、研究動向の把握と研究成果の発表のために関連学会へ参加するための国内旅費として使用する。 3.鹿児島県内の小学校・中学校での理科授業の参与観察、担当教師へのインタビュー調査などのフィールド調査を行うための資料印刷費や調査打合せのための旅費として使用する。 4.研究資料およびデータの収集・整理・保管に必要となる事務用品、パソコン周辺機器を購入するのに使用する。
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