2013 Fiscal Year Research-status Report
圧縮性流体の基礎方程式系に現れる非線形波の安定性理論
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24740091
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 徹 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 助教 (90432898)
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Keywords | 偏微分方程式論 / 粘性保存則 / エネルギー法 / 漸近解析 / 圧縮性粘性流体 / 境界層解 |
Research Abstract |
本研究課題二年目に当たる平成25年度は, 前年度の研究に引き続き圧縮性粘性流体のモデル方程式系を包括するような一般的な対称双曲・放物型偏微分方程式系を1次元半空間上で考察し, 境界層解と呼ばれる定常解の存在性及び漸近安定性に関する研究に取り組んだ. 具体的には前年度の研究において扱った非縮退定常解の存在性の条件の見直しを行った. これまでの研究結果においては, 非縮退定常解が存在するために, 定常問題に現れるヤコビ行列が負の固有値を持つことが仮定されていた. 一方でどのようなときにこの仮定が満たされるかについては明確には明らかにはされていなかった. そこで本年度の研究では, 定常問題の解析方法を見直すことにより, 定常解が存在するための条件を改良し, より明確に表現することに成功した. 具体的には非定常問題での粘性係数をゼロとした非粘性双曲型連立系に現れる特性速度のうち, その値が負となるものの個数が双曲型の方程式の本数よりも多くなれば定常解が存在することを証明した. 以前の証明方法では, 保存形で与えられている方程式系をそのまま積分し, 一階の常微分方程式系に帰着させていたため, 定常解の存在条件を明確に表現することが出来なかった. 本年の研究では, 保存形の方程式形を対称形に変形させてから定常問題を考察することにより, 先述のように存在条件を明確に求めることに成功した. この進展により, 具体的な流体のモデル方程式系で見られた定常解の存在性及び非存在性を, 負の特性速度の個数という観点から完全に説明出来るようになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画では定常波の存在条件をを明確にすることが目標であったため, 研究実績の概要欄に記載した通りおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の研究においては境界層解の存在条件を明確にすることに成功した. 今後の研究計画としては, 過去の研究で存在性が示されている縮退境界層解の漸近安定性を証明することが挙げられる. このケースは流体のモデル方程式において無限遠方の流速が音速に等しくなるケースに相当する為, 物理的にも重要な問題である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に予定していた一部の出張が取りやめになったことと、使用した出張旅費が当初の見積もりより少なくなった為, 当該研究費が生じた. 本研究費は引き続き次年度以降に請求する研究費と併せて出張旅費等に当てる計画である.
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Research Products
(6 results)