2012 Fiscal Year Research-status Report
BELLE実験における軽ハドロンに崩壊するΥ(1S、2S)の研究
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24740158
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
沈 成平 名古屋大学, 理学研究科, 特任助教 (80623925)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ハドロン / ボトモニウム / Belle |
Research Abstract |
Belle実験で取得した1.02億のUpsilon(1S)事象と1.58億のUpsilon(2S)事象を用い、phi K+ K-、omega pi+ pi-、K*0(892) K- pi+への3体崩壊とベクトル・テンソル、擬ベクトル・擬スカラーへの2体崩壊のデータ解析を行った。Upsilon(1S)粒子のphi K+ K-、omega pi+ pi-、K*0 K- pi+、K*0 K2*0への崩壊と、Upsilon(2S)粒子のphi K+ K-、K*0 K- pi+への崩壊に対し、世界初となる信号の観測に成功した。解析を行ったすべての崩壊過程に対して、崩壊分岐比の測定値を得た。信号の重要度が3sigmaより小さい崩壊に対しては、崩壊分岐比の上限値を設定した。 Upsilon(2S)とUpsilon(1S)の崩壊分岐比の比は、OZI抑制されたボトモニウム崩壊の摂動的QCD理論のテストに使うことができる。phi K+ K-、K*0 K- pi+、K*0 anti-K2*0(1430)崩壊に対しては、Upsilon(2S)とUpsilon(1S)の崩壊分岐比の比が摂動的QCD理論で得られる値と一致した。一方で、omega pi+ pi-崩壊に対しては、Upsilon(2S)とUpsilon(1S)の崩壊分岐比の比が摂動的QCD理論で得られる値よりも2.5sigma小さかった。以上の結果は、チャーモニウムセクターにおけるOZI抑制の比が12%になるルールが、ボトモニウムセクターでは成立しない可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りにデータ解析を進める事ができた。Upsilon(1S)とUpsilon(2S)の3体崩壊、2体崩壊の分岐比を測定した。Upsilon(1S)のphi K+ K-、omega pi+ pi-、K*0 K- pi+、K*0 K2*0への崩壊と、Upsilon(2S)のphi K+ K-、K*0 K- pi+への崩壊に対し、世界初となる信号の観測を行った。phi K+ K-、K*0 K- pi+、K*0 anti-K2*0(1430)崩壊に対しては、Upsilon(2S)とUpsilon(1S)の崩壊分岐比の比が摂動的QCD計算値と一致する事を確認した。一方で、omega pi+ pi-崩壊に対しては、Upsilon(2S)とUpsilon(1S)の崩壊分岐比の比が摂動的QCD計算値よりも2.5sigma小さかった。以上の結果は、チャーモニウムセクターに対するOZI抑制の比が12%になるルールが、ボトモニウムセクターでは成立しない可能性を示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
Upsilon(1S)とUpsilon(2S)のハドロンへの崩壊の解析を、さらに押し進める。より具体的には、KS0 K+ pi-、pi+ pi- pi0 pi0、pi+ pi- pi0への多体崩壊、K*0(892) anti-K0、K*-(892) K+、omega pi0、rho piへのベクトル・擬スカラー2体崩壊の解析を行う。また、得られた結果を用い、摂動的QCD計算に関する議論を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、主に、Upsilon(1S)とUpsilon(2S)の崩壊解析結果を、国際会議で公表するために使用する。また、論文の公表のためにも使用する。
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Research Products
(4 results)