2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24740184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
日高 義将 独立行政法人理化学研究所, 初田量子ハドロン物理学研究室, 研究員 (00425604)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換, アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
平成24年度は高密度ハドロン物質に対する対称性とその自発的破れについて解析をするのが課題であった.その課題のために,内部対称性が自発的に破れた場合における南部ゴールドストンの定理の一般論を展開した.南部ゴールドストンの定理は自発的に連続対称性が破れるとそれに伴いゼロモード(南部ゴールドストンモード)が現れる事を導く.この定理はローレンツ対称性があるゼロ温度,ゼロ密度の真空において定式化され,その場合,対称性の破れの数と南部ゴールドストンモードの数は一致する.しかし,有限温度や本研究の対象である高密度物質などのローレンツ対称性がない場合には対称性の破れの数と南部ゴールドストンモードの数の対応関係に対して様々な研究があるが,一般的な対応関係は正確にはわかっていなかった.本研究では,この問題をまず時空対称性は破れていない場合に適応し,対称性の破れの数と南部ゴールドストンモードの数の対応関係を正確に表す公式を導いた. また,回転する中性子星では強い磁場が存在する事が知られている.強い磁場が存在する場合のハドロンの質量変化は高密度QCD物質の性質を知る上で重要である.特に強磁場中で凝縮を起こし,自発的対称性の破れを起こす可能性が様々なQCDの有効模型を用いて指摘されているベクトル中間子に着目をして研究を行った.この研究では, ゼロ密度のQCDにおいてこの凝縮が起こりえるか解析的及び数値的に解析した.解析的な計算ではクォークの質量が有限の場合にはゼロ温度ゼロ密度,ゼロ磁場のQCDでは,対称性は破れないというVafa-Witten定理を磁場中のQCDに応用しゼロ密度QCDではベクトル中間子は磁場中で起こり得ないことを示した.また格子QCDを用いて数値的に確かめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の課題であった自発的対称性の破れの研究は概ね順調に進んだ.高密度QCD物質で予想される非一様相の解析に必要な時空対称性の自発的破れの解析まで完了すればよかったがそこまでには至らなかった.現在,この拡張は概ね完成しており今年度の中頃までには論文発表する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
去年度得たローレンツ対称性がない場合の南部ゴールドストンの定理の結果をさらに時空対称性が自発的に破れた場合に拡張する.またその場合の低エネルギーの有効理論も構築する.これは高密度QCD物質で予想される非一様相での解析に必要である. また,ゼロ密度有限温度で得た磁場中のベクトル中間子凝縮の可能性の計算を有限密度に拡張し解析を行う.磁場がある場合の高密度物質におけるハドロンの性質を解明するのに必要である. 研究がうまく進んだ場合はこの有効理論を用いて高密度QCD物質における輸送現象などの動的性質の解析を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用用途は,日本物理学会,熱場の量子論とその応用,Strong and Electroweak matter等の国内外の学会への参加費及びそれらの旅費,論本投稿料,物性関係の書籍購入に使用する.また,共同研究者との打ち合わせのための旅費に使用する. 未使用額が生じた状況は,書籍の購入に関して納品が年度内に間に合わなかったため,購入を次年度に延期した.
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] 有限温度摂動論2012
Author(s)
日高義将
Organizer
熱場の量子論とその応用
Place of Presentation
京都大学, 京都
Year and Date
20120820-20120824
Invited
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