2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24740184
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
日高 義将 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 研究員 (00425604)
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Keywords | 自発的対称性の破れ |
Research Abstract |
高密度ハドロン物質では,カイラル非一様相,カラー超伝導中でのFulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov状態など様々な非一様相の存在が理論的に予想されている.平成25年度の目標はこのような時空対称性の破れに伴う南部ゴールドストンの定理と有効理論の構築であった.そのさきがけになる時空対称性が破れた場合の弾性理論の論文を投稿中である.現実の系はゼロ温度という状況は実現せず温度の効果を考慮する必要が出てくる.特に輸送現象や冷却現象にはその効果が必須である.我々は内部対称性の自発的破れに関して,有限温度有限密度に拡張した南部ゴールドストンの定理についての研究結果を研究会等で発表した.現在,その研究成果についての論文を準備中である.一方,強磁場中のハドロンの性質に関して,クォークの質量がゼロの極限,及び強磁場の極限において,電場をかけるとカイラル凝縮が時間的に周期振動する状態が実現することを発見した.これは,高密度ハドロン物質で存在が予想されている空間的に周期的なカイラル凝縮の時間版といえる.また,自発的対称性の破れの概念を応用し,場の量子論から相対論的流体力学の導出も行った.これは,ボルツマン方程式を用いた解析と異なり,強く相互作用した系にも適用でき応用範囲が広い.量子異常の流体への効果が現象論的に様々な方法で議論されているが,我々の手法を用いるとミクロな理論から量子異常の流体への影響を計算することができる.この研究成果に関する論文は論文は現在準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
25年度の目標は,時空対称性の破れに伴う南部ゴールドストンの定理と有効理論の構築であった.さきがけになる弾性理論の論文は投稿中であるが完全な定理,有効理論の構築には至らなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に引き続き,時空対称性の破れに伴う南部ゴールドストンの定理と有効理論の構築を行なう.それを実際の高密度ハドロン物質に適用し輸送現象などの解析を行なう.また,強磁場の効果によって自発的対称性のパターンがどのように変化するか解析し,輸送現象にどのような影響があるか調べる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スペイン及び沖縄の研究会の出張旅費が主催者側からの補助により,予定していた額より安くすんだため. 国際会議Confinement XIの会議参加費及び出張旅費に用いる.
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Research Products
(8 results)