• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Research-status Report

次世代高精度天体観測に向けたX線放射モンテカルロコードの開発と観測的実証

Research Project

Project/Area Number 24740190
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionJapan Aerospace Exploration Agency

Principal Investigator

小高 裕和  独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (50610820)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords国際研究者交流、アメリカ合衆国
Research Abstract

天体からのX線放射をモンテカルロ法を用いた粒子追跡により計算するソフトウェアフレームワークを完成させた。
このフレームワークを用いて中性子星の降着流プラズマからの逆コンプトン散乱を計算し、観測結果と比較することで、モデルがよく観測スペクトルを表現できること、プラズマの物理パラメータが中性子星として自然な値になることを確かめた。観測データとして、すざく衛星による大質量X線衛星Vela X-1の広帯域X線データを用いた。この解析では、1時間以下の短い時間スケールでのスペクトルの変動を捉えることに成功し、結果を論文として発表した。モンテカルロシミュレーションを用いたモデル化についての論文を投稿中である。これらの内容について、インド・マイソールで行われた国際会議COSPAR、日本天文学会で発表した。
シミュレーションの枠組みについて、他の天体への応用も含めて、スペイン・バルセロナで行われたワークショップで発表した。
このシミュレーションフレームワークは汎用のものであり、研究計画の枠を超えて、天体物理の重要な問題への適用について検討を行った。中性物質からの反射を扱う物理プロセスコードを活動銀河核のトーラスへ適用した。これにより、従来のモデルがもつトーラスのジオメトリや内部構造の制限を克服できることを示した。また、光電離プラズマのプロセスを応用して、光電離ではない熱的プラズマ内での光子の散乱を取り扱うコードを整備した。これは、銀河団や超新星残骸へ適用できると考えている。他にもX線より高エネルギーのガンマ線放射への適用を議論している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の根幹をなすモンテカルロ計算のフレームワークは完成し、今後の開発は物理プロセスや天体ジオメトリの記述といった具体的問題に固有な部分に集中できる。
1つ目の重要なテーマである中性子星への応用については、すざく衛星のデータ解析と放射のモデル化で2つの論文を投稿し、主要な目的を達成できた。さらに今後、複数の天体への応用やより精密なモデルへの発展が見込める。もうひとつのテーマである光電離プラズマへの応用は、原子物理データテーブルについて検討を行い、これまで用いてきたものとは異なるテーブルについてもコードの対応を行った。このコードを用いて、光電離プラズマだけでなく衝突電離プラズマからの放射も扱うことができるようになる。
本研究で開発した放射計算コードの応用範囲は広く、当初計画していなかった天体物理の問題への適用も議論することができた。研究計画は順調かつテーマを広げながら進展している。

Strategy for Future Research Activity

完成させたフレームワークについては論文を投稿予定である。
中性子星の降着流の放射のモデル化を理論観測の両面からさらに発展させるため、サイクロトロン散乱のモデル化を検討し、すざく衛星のデータと比較する。
光電離プラズマについては、これまで用いてきたチャンドラ衛星のデータに加えて、来年度新たに大質量X線連星のチャンドラによる観測を実行する予定である(すでに観測提案が採択済)。これによりこれまでより高品質なデータが得られ、シミュレーション結果との比較を行い、光電離された星風のモデルを構築する。
また、今年度検討を行った熱プラズマや非熱的ガンマ線放射について、具体的な計算を実行し、従来よりも正確な放射モデルを構築することを目指す。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

新しいチャンドラ衛星のデータ解析と光電離プラズマのモデル化の議論および作業を行うために、ペンシルバニア大学などに滞在し、共同研究を行う。このために旅費を使用予定である。
シミュレーションにより生成される大量のデータを保存するため大容量のハードディスクドライブを購入予定である。
その他に、国内の共同研究、国際会議発表のための旅費や、論文投稿費用に用いる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Short-Term Variability of X-rays from Accreting Neutron Star Vela X-1: I. Suzaku Observations2013

    • Author(s)
      Hirokazu Odaka et al.
    • Journal Title

      The Astrophysical Journal

      Volume: 767 Pages: 70-86

    • DOI

      10.1088/0004-637X/767/1/70

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] High-resolution Compton cameras based on Si/CdTe double-sided strip detectors2012

    • Author(s)
      Hirokazu Odaka et al.
    • Journal Title

      Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A

      Volume: 695 Pages: 179-183

    • DOI

      10.1016/j.nima.2011.12.061

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] MONACO: Calculation Framework of X-ray Radiation based on Monte Carlo Simulations2012

    • Author(s)
      Hirokazu Odaka
    • Organizer
      Exploring the Non-thermal Universe with Gamma Rays
    • Place of Presentation
      Barcelona, Spain
    • Year and Date
      20121106-20121109
  • [Presentation] 降着駆動パルサーVela X-1の広帯域X線スペクトルの時間変動とその解釈2012

    • Author(s)
      小高裕和
    • Organizer
      日本天文学会
    • Place of Presentation
      大分
    • Year and Date
      20120919-20120921
  • [Presentation] Short-Term Variability of Comptonized X-rays from Accreting Neutron Star Vela X-12012

    • Author(s)
      Hirokazu Odaka
    • Organizer
      COSPAR 2012
    • Place of Presentation
      Mysole, India
    • Year and Date
      20120714-20120722

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi