2014 Fiscal Year Research-status Report
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24740232
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
土射津 昌久 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70362225)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子性導体 / 多軌道系 / 強相関電子系 / 電荷秩序 / 繰り込み群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、多軌道系の有効モデルの理論的解析を行った。
1. 前年度に引き続き、(TTM-TTP)I3の特異な電荷秩序を明らかにするため、フラグメント分子軌道に基づく有効モデルの理論解析を行った。本年度は、最近我々が新しく開発したRG+cRPA法(汎関数繰り込み群法と制限乱雑位相近似を組み合わせた理論手法)を適用した。これにより、「スピン揺らぎを伴う分子内電荷秩序状態」と「スピンギャップをもつ分子内電荷秩序状態」の2種類の電荷秩序状態が実現することが分かった。この研究により、RG+cRPA法が弱相関領域から強相関領域まで適用可能であり、定量的にも信頼できる結果を示すことが確認できた。
2. ルテニウム酸化物におけるトリプレット超伝導の起源を明らかにするため、2次元多軌道モデルをRG+cRPA法により解析した。これにより、従来のRPAで無視されてきた「バーテクス補正効果」により、軌道揺らぎが発達することを明らかにした。さらに超伝導感受率を解析した結果、軌道揺らぎとスピン揺らぎが協同的に働くことにより、トリプレット超伝導が実現することを明らかにした。これはルテニウム酸化物におけるトリプレット超伝導の発現機構の新たなシナリオを提唱するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度当初の計画を変更したが、多軌道系の超伝導状態について新たな発現機構を提唱することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究を引き続き推進し、得られた成果をまとめる計画である。
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Causes of Carryover |
26年度にフタロシアニン分子素子系の解析を予定していたが、分子凝縮系のモデル解析において予想以上の非自明な結果を得たため、計画を変更し、分子凝縮系の解析を詳細に行うこととし、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分子凝縮系の詳細な解析の継続と研究成果発表を行うこととし、未使用額はその経費に充てることを計画している。
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Research Products
(14 results)