2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24750050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
星野 哲久 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (30551973)
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Keywords | 錯体化学 / 分子磁性体 / 分子強誘電体 / 固体分子ローター |
Research Abstract |
本研究では強誘電性を示す固相超分子ローターを導入した金属錯体を多重集積化することで、強誘電性と強磁性が強くカップリングした交差型マルチフェロイック物質の創出を目指した。 構成素子として、球状かつ大きな極性をもつフルオロアダマンチル基を導入したカルボン酸架橋ルテニウム(II,III)二核錯体を合成した。磁化率の温度依存測定により、この錯体は大きな磁気異方性を持ち、磁性体のビルディングブロックに適することを確認した。 誘電率評価においては、当初粉末サンプルを用いて測定実験を行ったところ、結晶溶媒の部分的な揮発により常温付近で大きな誘電率を発現することが判明した。しかしながら強誘電体の構成素子としては、溶媒分子ではなく分子ローターの回転運動によって大きな配向分極を発現することがを望ましい。ローターの運動を正しく評価するため、単結晶サンプルを用いた高精度な測定が必要となり、既設の誘電率測定装置に様々な改造を加えた結果、周波数特性・浮遊容量の大幅な改善に成功した。単結晶サンプルによるルテニウム二核錯体の誘電率測定では溶媒分子由来の誘電異常が消失し、代わりに 110~170 K の間で反強誘電-強誘電転移を示すシグナルが観測された。単結晶構造解析より、この誘電異常がローターユニットの回転運動に起因することを確認した。 以上より合成したルテニウム二核錯体が強磁性・強誘電体の構成素子として有用であることが確認できたため、これを各種架橋ユニットと反応させて集積化を試みた。ヘキサシアノクロム酸イオンやテトラシアノエチレン等、様々な架橋ユニットとの反応を試行したものの、強誘電・強磁性を示す結晶性固体はまだ得られていない。アダマンチル基が疎水性であるため先行研究とは異なる反応条件や架橋ユニットが集積化に有用であることが解ってきており、現在集積化反応条件の最適化を行っている。
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Research Products
(59 results)