2013 Fiscal Year Research-status Report
双安定性を有する多孔性配位高分子を用いた不均一触媒の創成と触媒能の能動的制御
Project/Area Number |
24750060
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
米田 宏 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50622239)
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Keywords | スピン転移 / 光照射 / 反応制御 |
Research Abstract |
本研究は、多孔性配位高分子の骨格構造に、外場応答部位としてのスピン転移サイトと触媒活性なオープンメタルサイトを合理的に配列させて、内部細孔を利用したゲスト分子認識、および機能性サイト間の相互作用と電子状態制御により、単独では発現し得ない創発的な機能発現を目的とする。 これまでに、室温で磁気安定性を示す多孔性配位高分子 {Fe(pz)[Pt(CN)4]} (1; pz = ピラジン) が、1)スピン転移に伴い内部細孔のサイズが約30%変化すること、2)様々な溶媒分子の吸脱着が可能であり、化学的刺激によるホスト骨格のスピン状態の可逆的変換が観測されたことにより、電子状態と構造の柔軟性を有する特異な相互作用空間を構築することに成功した。加えてゲスト分子に二硫化炭素 (CS2) を用いると、は低スピン相が安定化されることを観測した。さらに、CS2包接体に光を照射し、高スピン相への光誘起スピン転移に関して検討を行った。現在、光誘起による高スピン相への転移は観測されておらず、詳細な条件検討を行うとともに、加熱等のことなる外部刺激による骨格のスピン転移も検討している。これにより、骨格のスピン転移に相関した構造変化と同期した 、CS2分子の徐放が期待され、放出されたCS2を反応基質とし、アルコールとのキサントゲン反応に関しても検討を行っている。 また、1のpzをイミダゾールに変えた化合物に関しても合成を行った。この化合物に関しいては、残念ながらスピン転移が観測されなかったため、骨格の修飾による、スピン転移挙動の発現並びに、イミダゾールの末端に金属ポルフィリンを配位させることにより、酵素を模した、反応触媒として研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多孔性配位高分子の複合機能化による、反応制御に関して研究を行った。反応基質の選択的な吸脱着を光により制御し、系中の基質の有無により反応を制御する試みは現在遂行中である。一方、外場応答部位と反応活性部位を併せ持ち、反応活性サイトの電子状態を外場により制御する試みに関しては、進行がやや遅れており、用いる錯体配位子の選択も含めて再検討が必要だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
錯体1を用いた反応基質の選択的吸脱着と、光照射による基質の徐放に関しては、これまで同様研究を行い、反応条件の最適化を進める。また反応基質として。ヨウ素を用いることも合わせて検討する。 反応活性な錯体配位子としては、ポルフィリン錯体に加えて、カタラーゼ活性や、SOD活性を示すMn並びに、Co錯体を錯体配位子として用いて、磁気的双安定性を示す多孔性配位高分子の更なる多機能化を検討する。
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