2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24750079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤井 紳一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (10415739)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核酸 / 塩基配列 / 定量分析 / 質量分析 / 分離分析 |
Research Abstract |
当該研究課題に関して、平成24年度は、次の3つを課題として設定し、以下のように実施した。 課題①として、内標準用核酸の分子量および配列評価による純度検定を行い、内標準核酸として用いるメチル化修飾オリゴヌクレオチドまたは1 塩基脱離オリゴヌクレオチドの合成および安定同位体標識核酸の合成を検討した。純度検定方法としては、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)やキャピラリーゲル電気泳動(CGE)法を適用し、モノマー核酸を含め、本提案で対象とする数十塩基の核酸を十分に含む分子量範囲で分離分析を実現した。内標準核酸としては、メチル化修飾部位および修飾数を変化させたオリゴヌクレオチドを複数選定し、合成を検討した。また、安定同位体標識核酸の合成も検討し、モノマーについて分析を行った。これらについてもHPLCやCGEを用いた同様の分離分析を実現した。核酸の分離分析技術について、学会発表と論文投稿を行った。 課題②として、限外濾過等の各種前処理法の実施による定量値への影響評価を実施した。核酸由来、非核酸由来の夾雑物について前処理による精製を検討し、前処理中に夾雑物として含む可能性のある物質についても確認した。適合する複数種の核酸精製手法を比較し、分光学的手法および質量分析法を用いて核酸定量および回収率を評価した。 課題③として、質量分析装置による多価イオン解析による目的配列の定量に関する装置準備を行った。具体的には、低濃度の核酸分離装置としてナノフロー型高速液体クロマトグラフを用いるが、当該装置と質量分析装置を接続するマスステージを新たに構築し、両装置の接続を試みた。核酸の定量評価を行うために、既存の質量分析装置および分離装置を当該ステージで接続し、稼働条件検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究課題に関しては、研究実施初年度である平成24年度において3つの課題を目標として設定し、その計画に従って研究を実施した。平成24年度実施予定の各課題において、計画に示した内容は想定した結果と評価結果が概ね符合するものであり、順調に進展していると判断する。特に、核酸分離分析技術については、学会発表と関係専門誌への論文投稿を行い、投稿論文については内容が評価されて表紙への掲載も決定しており、対外的にも高い評価を得ていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、研究初年度の実施状況が概ね順調であったことから、交付申請時に計画した研究実施計画に従って推進する。 特に平成25年度については、初年度に設定した課題の成果に基づき、特に平成24年度設定課題③で準備検討を行った質量分析を用いた核酸の定量評価を実施する。具体的には、合成、評価を行った内標準核酸を用いて、対象となるDNA配列の質量分析を行う。初期のモデル試料としては20-mer程度のオリゴDNAを用い、同位体希釈質量分析法などの他手法で定量評価した核酸を定量することで、その妥当性を評価可能なように準備を行う。実際の定量評価を行った上で、妥当な定量値が得られない場合には、平成24年度の内標準核酸の評価に立ち返り、合成、精製等の再評価を行うと共に、質量分析における問題点についても再度検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度においては、購入を想定していた塩基配列解析装置が製造中止となり入手できなくなったため、装置購入費相当分の余剰金が生じた。当該評価は電気泳動評価法など、他の評価方法で検証を行い、余剰金については、評価試料合成や評価装置の消耗材へ充当する。平成25年度においては、主に核酸分離分析に必要な消耗材の調達と必要に応じて生じる核酸合成に研究費を用いる。分析を行う上で分析装置の調整や機能追加が必要な場合には、それらの調達に研究費を使用する。また、これまでに開発を行った分析技術について成果の発信を行うために、学会発表を予定しており、特に海外での成果報告を想定する。
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Research Products
(9 results)