2013 Fiscal Year Annual Research Report
配糖化タンパクの収束的かつ自在な供給法開発による化学生物学的研究の堅固な基盤構築
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24750154
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
佐々木 要 東邦大学, 理学部, 講師 (10611783)
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Keywords | ペプチド / チオカルボン酸 / チオエステル |
Research Abstract |
修飾タンパクの構造や動態の変化を分子レベルで深く理解するため,純物質として十分量の修飾,未修飾,あるいは天然,非天然のタンパク質を自由自在に供給する基盤技術が必要である.そこで,本研究課題では,収束的なタンパク質の化学合成法の開発を行った.戦略の中心に据えたのは,ペプチドの合成後修飾の足掛かりとなる側鎖チオカルボン酸を構築する技術の開発と,そのチオカルボン酸の官能基選択的変換反応の開発である.当初,非対称チオカルボン酸無水物を経てシステイン-チオアスパラギン酸間の結合を形成する反応を検討したが,側鎖チオカルボン酸を安定に供給するのは困難であったため,C-末端アシルアジドとN-末端のgamma-チオアスパラギン酸の脱窒素および脱硫を伴うイミン形成反応と,続く一級アミンへのアシル転移によるカップリング反応とした.一方,バックアップ戦略により,側鎖にチオカルボン酸を有するペプチドの合成を行った.その際,チオカルボン酸前駆体として,フェナシル-,メチルフェナシル-,ジメチルフェナシル-,ビスフェナシルチオエステルを検討し,メチルフェナシルチオエステルが前駆体の安定性及びチオカルボン酸への可変性に最も優れていることを見出した.近年,開発報告数が伸びているチオカルボン酸前駆体のなかでも,汎用のペプチド保護基との直交性において有用性および信頼性の高い前駆体である.一方,チオカルボン酸を足掛かりとしてグリコシルエステル結合型のペプチドの修飾を行う新手法として,単純なチオカルボン酸を有するモデル基質を用いたグリコシル化反応を検討したが,現在までに修飾ペプチド合成に耐えうる高効率な反応条件を見出すに至っていない.しかし,これらの検討の過程で,修飾タンパク合成に向けいっそう有望で,かつ,簡便なペプチド合成法を見出した.これに基づき,従来に類例のない戦略としてペプチド合成を行っているところである.
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