2013 Fiscal Year Annual Research Report
長繊維強化自己治癒セラミックスにおける損傷成長と自己治癒の競合関係の解明
Project/Area Number |
24760072
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中尾 航 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (60361870)
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Keywords | インテリジェント材料 / 構造材料 / 破壊力学 / き裂 / 高温構造材料 / FRC |
Research Abstract |
本研究では、静応力が作用する環境下において長繊維強化自己治癒セラミックスのおける力学場による損傷の成長と自己治癒による損傷の縮退の競合関係を調査し、自己治癒材料の設計応力に関する考え方と決定指針について議論した。 昨年度までに確立した手法により、1000-1200℃における所定の静応力下での自己治癒挙動を調査した。 応力下の自己治癒挙動中の3点曲げ変位を解析することで、自己治癒機構が静応力により生じるき裂進展を停止していく挙動を明らかにすることができた。具体的には、上記の変位曲線の時間微分係数の時間変化を算出することで、その微分値は自己治癒初期には、き裂進展が優性であるため、正の値をとる。これが、時間の経過につれ自己治癒が優勢へと変化していき、0に到達し、そのご微分値は変化しない。また、変位の時間微分値が0となるときが試料の残存強度が最も小さくなることからも、この時の時間をき裂停止時間と定義し、この数値を定量化することに初めて成功した。 自己治癒が可能な負荷応力の上限値は、き裂長さ、自己治癒温度の変化によらず、き裂導入時の残存強度の80%であった。しかしながら、自己治癒によるき裂停止時間は自己治癒温度に大きく依存し、アレニウス型の速度依存関係を有していた。このため、き裂進展を停止する現象は、自己治癒発現物質の高温酸化反応による影響が最も大きいことが分かった。 以上のことから、より詳細な自己治癒材料の材料設計指針を確立するためには、より自己治癒可能な温度域の大きい試験片を利用することが必要であり、またき裂先端の応力拡大係数を詳細に調査する必要があることが分かった。
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Research Products
(4 results)