2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760145
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
永弘 進一郎 仙台高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (20419154)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
ハチミツやオイルのような、大きな粘性を持つ流体を水平の板の上に垂らしたときに観測される、座屈と折りたたみは、低レイノルズ数における不安定化現象として多くの研究がある。本研究では、並進する板に液糸および液膜を垂らした際に生じる振動現象について、(1)振動の発生条件を明らかにし、(2)樹脂フィルムの製造手法「溶液流延法」における膜厚不均一発生の改善に直接応用することを目的として、目下、研究を行っている。 スリット型のノズルから射出された液体の振動については、シミュレーションによる解析から、通常のニュートン流体が並進する平板上へ垂下する場合には、振動が起こりえないこと推測した。そこで代表者は、樹脂フィルムの材料として用いられる酢酸セルロースが、ずり粘化あるいはずり薄化が重要な役割を果たしているのではないかと予想した。ずり粘化(薄化)とは、流体の粘性が剪断応力に依存して増大(現象)する性質のことを言う。「溶液流延法」では、比較的速い速度で液体を巻き取るため、大きな剪断応力がかかり、それらが無視できないほど大きな寄与を与えている可能性があると考えた。 そこで、ナビエストークス方程式にずり粘化の効果を現象論的に加えるモデルを開発した。その結果、ずり粘化を起こすような流体では、単純な剪断流れにおいても流体が自発的に振動することを理論的に予想した。代表者は片栗粉と水のペーストを用いて実際に実験を行い、この振動が確かに発生する事を実証した。今後は、「溶液流延法」に対して、当モデルを適用する事を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一定応力の下でのずり粘化によって、剪断流が自発的に振動する事を、理論的かつ実験的に見いだした事は「溶液流延法」における流体の振動現象を解明するにあたって、大きな進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
ナビエストークス方程式をもとにして、ずり粘化の性質を現象論的に加えた理論モデルをもとに、並進平板上に垂下する液糸のダイナミクスを考える。単純剪断流の自発的振動は、すでに我々によって実験的かつ理論的に確認された。よって、溶液流延法の自発振動もずり粘化の寄与によって生じるものであると予想している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究をスタートした当初は、酢酸セルロースの非ニュートン流体的な性質が、溶液流延法における液膜振動の要因であると予想していなかった。そのため研究計画に変更が生じた結果、数値シミュレーションを行うための計算機購入費用として、若干の費用を繰り越した。次年度は、理論モデルを用いた、液糸の振動の発生機構を、数値計算によって明らかにすることを第一の目的として、研究を行う。
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Research Products
(5 results)