2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24760145
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
永弘 進一郎 仙台高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (20419154)
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Keywords | ずり粘化流体 / 懸濁液 / レオロジー |
Research Abstract |
並進平板上に垂下する液膜の自発的な振動現象の解明へ向けて、理論と実験の両面から研究を行った。ニュートン流体の場合は、平板の並進速度が遅い場合に粘性座屈による振動が起こることは既に実験的に知られており、理論的にもそれを確認した。しかし樹脂フィルムの作成工程で問題となる並進速度が非常に早く、液膜が強く引き延ばされる場合について考えると、モデルシミュレーションでは定常的な振動状態は見いだされなかった。このことから、ニュートン流体を考える限り液膜振動は説明できないと推察した。 そこで我々は、液膜振動の要因は液膜を構成する流体の非ニュートン性にあるはずだと考察した。ずり速度の増加とともに粘性が増加する「ずり粘化(shear thickening)流体」と、粘性が減少する「ずり薄化(shear thinning)流体」のダイナミクスを記述する流体力学モデルを構築した。問題を単純化して一定応力下のシンプルシア流を調べたところ、ずり粘化がある場合に、自励振動がおこることを理論的に予言した。今までに知られていなかった振動現象であり、我々はこれを「ずり粘化振動(Shear Thickening Oscillation)」と名付けた。 代表的なずり粘化流体の例は片栗粉のペーストである。われわれはこれを用いて流体に一定のせん断応力を加える実験装置を構築し、実際に理論的に予言された振動が起こることを確かめた。 以上の成果から、樹脂フィルムの液膜の自発振動も流体の非ニュートン性によって起こっている可能性が高いことが解った。液膜の引き延ばし工程は、単純シアにくらべて自由度が高く、ずりに加えて引っ張りも作用するため、ずり薄化をもつ流体でも別の機構による自発振動が起こる可能性があり、シミュレーションによる解明を今後行う。
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Research Products
(4 results)