2012 Fiscal Year Research-status Report
先進高温超伝導線材の広範な実用環境下における臨界電流特性の推定法の開発
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24760235
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 昌睦 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (80346824)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高温超伝導 / 超伝導線材 / 臨界電流 / 電流電圧特性 / 特性推定 |
Research Abstract |
希土類系高温超伝導線材の臨界電流特性の温度、磁場、磁場印加角度依存性を通電法にて系統的かつ高精度に計測するためのシステムを構築するとともに、通電法では計測が困難となる高い臨界電流値を有する領域での計測を実現するために磁化法による臨界電流特性評価を組み入れた。その結果、広範な温度(液体ヘリウム温度4Kから液体窒素温度77K程度)、磁場(自己磁場から10テスラ)領域における臨界電流特性評価を実現した。これらの結果は、特性推定手法確立のためのみならず、超伝導マグネット等の応用機器設計のための基礎データとして有用かつ有効である。 また、人工ピンニングセンターを導入した希土類系高温超伝導線材の臨界電流特性についても実験により詳細に調べた。その結果、広い温度、磁場領域に亘って磁場中の臨界電流特性が向上していることが明らかとなった。これは、導入した人工ピンニングセンターが広い温度領域に亘って有効であることを示唆している。さらに、当該線材においても我々の提出している物理モデルにより、その電流電圧特性の温度、磁場依存性をよく記述できることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度に計画していた、構成材料もしくは作製プロセスの異なる先進高温超伝導線材に対する臨界電流特性評価実験を先行して実施するとともに、電流電圧特性の温度、磁場依存性を記述する物理モデルの検証を行い、その有効性を確認するなど、当初の計画以上の進展が得られている。一方、臨界電流の磁場印加角度依存性については、系統的な実験による詳細なデータを得ることに成功しているものの物理モデルの検証は完遂していない。以上より、研究全体としてはおおむね順調に進展していると判断するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた詳細な実験結果に基づき、物理モデルの検証を進めるとともに、最小実験領域の検討についても行う。すなわち、実験条件(温度、磁場、磁場印加角度の測定点)と推定特性との相関について調べ、最も効果的な推定結果を得られる最小実験条件について検討する。これにより効率的かつ効果的な実験と特性推定の実現を目指す。また、パラメータ決定アルゴリズムの最適化、高速化による逐次特性推定システムの構築を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
逐次特性推定システムの構築に要する計算機及び数値解析用ソフトウェアを購入する。また、研究成果を国際会議等を通じて発信する。
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