2012 Fiscal Year Research-status Report
インプラントBANにおける無線通信機能のみを用いた通信端末位置推定方式
Project/Area Number |
24760297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
安在 大祐 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40611116)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | インプラントBAN / 通信端末位置推定 / カプセル内視鏡 |
Research Abstract |
研究実施計画における平成24年度の研究目標は、【1】位置推定のためのチャネルモデルの検討、【2】受信電力による位置推定方式の開発であった。 【1】においては、受信電力による方式は400MHz MICS帯とUltra WideBand(UWB) low-bandに焦点を当てチャネルモデルの検討を行った。400MHz MICS帯では、受信電力変動を確率モデルの検討、および、確率モデルのパラメータについて解剖学的人体数値モデルを用いた電磁界解析によって調査した。一方、UWB low-bandにおいても受信電力変動の確率モデル化を行い、さらに電力遅延プロファイルについても検討を行った。受信電力変動については対数正規分布によって精度よくモデル化可能であることを確認し、UWB low-bandの電力遅延プロファイルについては2パスモデルによって近似できることも実証した。さらに、UWB low-bandでは次年度の「信号到来方向による位置推定方式」のために、信号到来時間の数学モデルも確立した。無線通信信号によって位置推定を行う際、無線伝搬特性をどれだけ正確に表現できるかが重要であり、400MHz帯とUWB-low bandの無線信号の無線伝搬特性を精度よく表現できる数学モデルを確立した意義は大きい。 一方、【2】に関しては、【1】で確立した受信電力変動モデルを基に最尤推定法による位置推定方式を検討した。特性評価は、理論解析および計算機シミュレーションによって実施した.本評価によって、受信電力位置推定方式は、人体数値モデルによるFDTDシミュレーションによっておよそ4cmの精度推定可能であり、最尤推定の理論下界であるCramer-Rao Lower Bound (CRLB)では約1cmが示されることを確認した。 以上の研究成果について、学術論文2件、国際会議論文4件の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、カプセル内視鏡位置の高精度取得方式の開発である。その目的のために、初年度である本年度の目標として、位置推定のためのチャネルモデルの検討と受信電力による位置推定方式の開発を設定した。 チャネルモデルの検討としては、当初の予定通り400MHz帯とUWB low-bandの2つを対象に受信電力の確率モデル化を達成した。さらには、次年度での「信号到来時間による位置推定法の検討」を見据えた信号到来時間に関する伝播モデルの確立も行った。 また、受信電力による位置推定方式の開発としては、上記で検討したチャネルモデルを基に最尤推定法による位置推定法を検討した。当初の予定通り、本方式の評価を計算機シミュレーションや理論解析によって行い、定量的に本方式の特性解析を実施した。 以上より、本年度の研究達成すべき目標について概ね達成できており、本研究課題に対する研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究の進行状況は概ね順調であるため、研究実施計画に従って次年度である平成25年度も確実に研究を進める予定である。 具体的には、まず,信号到来時間による方式の開発を行う.そして,前年度に開発した受信電力による方式との比較検討を計算機シミュレーションと理論解析によって行う.ここでは,MICS帯400MHzとUWB-Low bandの比較も行い,どの周波数が位置推定において最適であるかも検討する.また,ここでの結果を踏まえて,受信電力と信号到来時間を併用した方式の検討・開発も視野に入れている. さらに,カプセル内視鏡が移動した動線を推定するトラッキング方式の開発に着手する.ターゲットトラッキング方式には先に検討した位置推定方式を適用する.また,トラッキング方式は内視鏡の位置の推移を表す状態遷移モデルも必要となるため,本研究は,まずこのモデルの開発を行う.モデル開発には研究協力者と連携し,実際のカプセル内視鏡の動きを実験的に検討する予定である.トラッキング法としては,カルマンフィルタを用いた方式とパーティクルフィルタを用いた方式の2つの検討を予定しているが,状態遷移モデルの結果次第では,他のフィルタの導入も視野に入れている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の結果を踏まえて,さらなる発展した位置推定シミュレーションのために計算機演算能力の向上が必要となる.そのため、本年度購入したワークステーションの性能向上ためにアクセラレータの購入を計画している.また、より高度な特性解析のために、解析用ソフトフェアであるMatlabのライセンスを購入する。
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