2013 Fiscal Year Annual Research Report
イオン照射法によるシリコンカーバイドの照射クリープ機構に関する研究
Project/Area Number |
24760715
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 創介 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (10563984)
|
Keywords | 炭化ケイ素 / 照射損傷 / 照射クリープ |
Research Abstract |
シリコンカーバイド(SiC)は高温強度特性に優れる低放射化材料であるため、原子炉材料として使用することが構想されている。課題は、中性子照射下では変形・破壊応力以下でも低温から照射クリープによる変形をきたすことであり、これが炉の運転温度を制限する要因になりうることである。当初、照射線量に対して敏感に反応する時期は、照射のごく初期のみでありそれ以降は飽和傾向を示すと予測しており、これを証明することを第1の目的に、なぜそうなるかを明らかにすることを第2の目的し設定していた。 24年度は、照射下で応力を負荷するための試料ホルダの作製、および、照射実験を完了した。また、400℃から800℃の照射温度での加速器実験の結果から、1dpaまでの線量で照射クリープがほぼ飽和することを見出した。また、各温度で、照射クリープひずみはスウェリングと線形関係を示すことを明確にした。25年度は400℃から1000℃までの照射温度範囲(100℃ステップ)において最大で3dpaまでの条件で、照射クリープひずみはスウェリングと線形関係を示すことを明らかにした。電子顕微鏡観察から、照射クリープの主要因の一つはフランク転位ループの異方分布にあること、すなわち、応力軸に近い法線ベクトルを持つループが優先的に生成していることによることを見出した。また、核融合環境で想定される核変換ヘリウム生成の模擬であるヘリウムイオン同時照射により、照射クリープに及ぼすヘリウム効果として、クリープひずみを低下させる結果を示した。 得られた照射クリープひずみのデータは、SiC/SiC複合材料の各要素(繊維・マトリックス・界面層)間での照射中の寸法変化の差に起因する材料内部の残留応力状態変化の計算に用いられる試みがすでになされており、ITER BA活動などを通じてその結果生じる強度変化の予測にまで拡張される予定である。
|