2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24770012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
富松 裕 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (40555398)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生息地の分断化 / 生態系機能 / 森林 |
Research Abstract |
森林の分断化は、残存する生物個体群や群集の変化だけでなく、森林が担う生態系機能に対しても重大な問題を及ぼすと考えらえる。本研究では、北海道帯広市南部に分布する大小の断片林を対象として、分断後の樹木バイオマスの長期的な変化過程、ならびにそのメカニズムを明らかにすることを目的として研究を行なっている。調査対象とした断片林では、分断後およそ60年が経過した1999年に、13の断片林に調査プロットが設置された。まず、断片林内の樹木群集の空間変異を分析し、断片林の大きさや林縁からの距離によって群集構造が大きく異なることが明らかになった。次に、伐採されずに存続した 9つの断片林でプロットの追跡調査を行った。今後、得られたデータの分析を進め断片林の大きさと樹木バイオマスの関係、その時間変化から、分断後のバイオマスの長期的変化と時間スケールについて推察を行う予定である。また、分断後に林冠木(大径木)の枯死率が高まったかどうか、年輪を分析することによる検証を行った。一般に、林冠木が枯死すると、ギャップが形成されたことに応答して、近隣に生育する樹木の成長率が高くなる。このため、年輪サンプルから成長履歴を分析することで、分断後に起こった撹乱(林冠ギャップの形成)頻度をおおまかに見積もることが出来る。主要構成種であるヤチダモやハルニレ・イタヤカエデの年輪を Black & Abrams (2003) の方法で分析したところ(n=59)、分断されて間もない1930-50年代に光環境が大きく改善した可能性があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているが、過去(1999年)に記録された電子データとオリジナルデータとの間に一部整合性が無いことが判明し、チェック作業を行うのに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
データ整合性のチェックを早急に行うと同時に、プロットの追跡調査や土壌の化学分析を行う。得られたデータは速やかに分析を行い、投稿論文としてまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述したデータ整合性の問題が生じたため、研究費の使用スケジュールがやや遅れている。次年度は、当初の計画に沿って、野外調査と分析用の消耗品、成果発表旅費、英文校閲費用を中心に、研究費を使用する予定である。
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