2013 Fiscal Year Research-status Report
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24770017
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
太田 和孝 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 博士奨励研究員 (50527900)
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Keywords | カワスズメ科魚類 / 色彩 / 代替繁殖戦術 / タンガニイカ湖 / 生活史 |
Research Abstract |
本年度はザンビア国ムプルング周辺の4地点にて野外調査を実施し、種間比較のための網羅的な調査と、1種に焦点を当てた代替繁殖戦術研究における未検証課題を解明するための行動実験を実施した。種間比較の調査において、対象としたタンガニイカ湖産シクリッド10種のうち実際の繁殖行動が見られた種はわずかであったが、生殖腺のデータから新たに3種から代替繁殖戦術が見つかった。その全ては基質産卵種であり、口内保育種からは見つからなかった。統計的な検討は、後に行う系統解析の結果と合わせてなされるべきであるが、これは当初の予想通り代替繁殖戦術が著しく発達・多様化したタンガニイカ・シクリッドの中でも、1つの単系統群の内で著しく発達しており、その中で何度も独立に進化してきたことを支持する結果である。今後は、得られたサンプルの父性判定を行い、実際にどれぐらいの割合でスニーキングが生じているのかを明らかにしていく。来年度以降も観察種数を増やしていきたい。行動実験は、代替繁殖戦術に関連した特異な性質をもつ種、モンダブで実施した。本種は、異なる色彩を持つスニーカーが同一個体群内で共存することが昨年の調査で分かった。本年度はその色彩の意義を明らかにするため、野外実験を行った。その結果、地味な体色のスニーカーは同種他個体に見つかりにくいことが明らかとなった。一方で、派手な体色のスニーカーは見つかりやすいものの、その色彩が縄張り保持のシグナルとして機能しており、縄張り保持に有利な可能性が示唆された。研究をさらに進めていくことで、これまで分かっていなかったスニーカーの色彩の適応的意義のついて明らかとなることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査地周辺で比較的観察が容易(可能)な種の約7割で代替繁殖戦術の有無が確認できた。現時点、主観比較を行うには十分な種数が集まったと思われる。また、行動実験も順調に実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、得られたサンプルを用いて、系統解析と父性判定を行い、実際にどれぐらいの割合でスニーキングが生じているのかを明らかにしていく。また、本年度得られた仮説を検証する実験も行い、代替繁殖戦術種で典型的にみられる、縄張り雄とスニーカー間の色彩の違いの適応的意義について明らかにしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた1番の理由は、海外調査の補助に使う予定だった予定していた人件費がかからなかったことにあります。 2014年度は物品費200,000円、旅費700,000円、人件費100,000円の計画でした。次年度使用額11,934円は、物品購入費に充てる予定です。具体的には、古くなった潜水機材の部品修理(オーバーホール)に用いる予定です。
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Research Products
(4 results)