2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24770063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
木村 哲晃 基礎生物学研究所, IBBPセンター, 特任助教 (60465250)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 形態形成 |
Research Abstract |
背鰭および臀鰭鰭条のパターン形成のための位置情報はチューリング波により与えられているという作業仮説を証明するために実験を行った。チューリング波は拡散条件を変更した場合に縞と縞の間隔が変化する。この縞が鰭条の位置を示しているとすると、温度が異なる条件下で飼育した個体間で鰭条の間隔が変化するはずである。そこで、近交系のHd-rRII仔魚を17℃の環境で飼育した。予想通り背鰭および臀鰭の鰭条数が変化し、鰭条間隔の変化がその原因であることを確認した。 鰭条の間隔に関するQTL解析の結果、13番および18番染色体に候補領域を得ていた。この領域に関してコンジェニック系統を作成するための掛け合わせを行った。QTL解析に用いたマーカーを使いHigh Resolution Melting解析による遺伝子型の決定法を新たに開発した。これにより従来の電気泳動法では解析に8時間かかっていたものが、3時間に短縮され必要な個体を迅速に決定できるようになった。 鰭条間隔が狭くなる変異体fsのポジショナルクローニングのため、fs変異体と北日本集団由来の近交系HNI-IIとの掛け合わせを行った。この掛け合わせで得られたF1 fishを兄妹交配し、F2世代を得た。これらを3ヶ月間飼育後、各個体の表現型を観察することでfsの表現型を示すものと野生型とを分けゲノムDNAを得た。変異体78個体と同数の野生型の個体を使いbulk segregation analysisによりfs座位が3番染色体上にあることを同定した。これにより、3番染色体に絞り込んで解析が行えるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コンジェニック系統の作成およびfsのポジショナルクローニングに関してはおおむね計画通り進んでいる。ビーズ移植を用いたTuring波のアクチベーターおよびインヒビターの探索は遅れている。これは、1ヶ月齢の魚へのビーズ移植法の確立が遅れているためである。胚に対するビーズ移植の報告はあるが、付加後一ヶ月齢の魚に対するビーズ移植はこれまでに報告されていない。この系の立ち上げが当初の様相以上に難航しているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ計画通りに進んでいるコンジェニック系統の作成とfs変異体の作成を中心に研究を続けていく。ビーズ移植法に関しては、引き続き系を立ち上げるための努力を続ける。また、これと平行して熱誘導タンパク質のプロモーターを利用したトランスジェニックフィッシュを構築し、基礎生物学研究所が所有する局所的な遺伝子発現システムであるIR-LEGO等の方法を用いた解析法も検討する。これらの実験を組み合わせることで、Turing波により臀鰭担鰭骨の位置情報が与えられているか否かを明らかにする
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
コンジェニック系統の作成とfs変異体の作成を中心に研究を続けていく。fs変異体は染色体が決定されたので、今後は多型マーカーを3番染色体に多数設計し原因遺伝子の絞り込みを行う。このためにプライマーを複数購入する予定である。また、コンジェニック系統は各世代100匹ずつ遺伝子型を決定するため、PCR用の酵素を購入する。今年度は鰭条のパターン形成に関する論文を発表する予定であるので、これに必要な英文構成等にも研究費を使用する。
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