2013 Fiscal Year Research-status Report
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24770063
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
木村 哲晃 基礎生物学研究所, IBBPセンター, 特任助教 (60465250)
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Keywords | 臀鰭の鰭条数 / 形態形成 / QTL解析 / ポジショナルクローニング |
Research Abstract |
1)臀鰭の鰭条数は独立した二つの遺伝形質により決定されている 臀鰭の鰭条数はこれまで一つの遺伝形質として考えられてきた。しかし、私は臀鰭の鰭条数は独立した二つの遺伝形質により決定されることを見いだした。一つの遺伝形質は臀鰭基底部の前後軸長である。臀鰭基底部の前後軸長を短縮するために薬剤処理により体軸長を短縮すると、臀鰭の鰭条数は減少する。もう一つの遺伝形質は鰭条同士の間隔である。鰭条同士の間隔を狭くするために孵化後低温でメダカを飼育すると、鰭条同士の間隔が短くなり鰭条数は減少する。 2)量的形質遺伝子座(QTL)のコンジェニック系統の作成 臀鰭の鰭条本数は臀鰭基底部の前後軸長及び、鰭条同士の間隔の二つの形質からなる。前後軸長及び鰭条同士の間隔に関わるQTL領域をそれぞれ2つと3つ決定した。これらの内寄与率の大きかったQTLに関してコンジェニック系統を作成を目指し交配を行った。最終的に6世代の戻し交配を行う予定であり、現在は3世代の戻し交配した魚を作成できた。 3)fs変異体の原因遺伝子の同定 臀鰭の鰭条パターンが乱れる変異体であるfs変異体の原因遺伝子を同定するために、ポジショナルクローニングを行った。その結果、fs領域を3番染色体の2000000ベースペア範囲に絞り込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臀鰭の基底部の前後軸長と鰭条同士の間隔に関するQTL解析とそこで得られたQTLコンジェニック系統の作成は順調である。しかし、fs変異体のポジショナルクローンニングはやや遅れている。これはfs変異体の責任領域が3番染色体のやや端に位置するためである。この領域は公開されているゲノム情報が比較的不正確であり、多型マーカーの設計がうまくいかなかったことに起因する。現在はfs領域が比較的絞り込めたため、状況は改善された。
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Strategy for Future Research Activity |
1)コンジェニック系統の作成 3世代の戻し交配した魚をさらに戻し交配し6世代目の選抜後にQTL領域をホモにするため兄妹交配を行う。兄妹交配で得られた魚をQTL領域に関して100kbpごとに多型マーカーを置いて遺伝子型を決定し、表現型との相関を解析してより小さな領域へとQTL領域の絞り込みを行う。絞り込んだ領域にある遺伝子の機能情報から候補遺伝子を絞り込み、whole mount in situ hybridizationによる発現解析を行い原因遺伝子の同定をする。Hd-rRII1のBACライブラリーを利用したレスキュー実験を行い鰭条間隔が変化するかを確認することで原因遺伝子であることを証明する。 2)fs変異体の原因遺伝子の同定 fs領域をさらに絞り込んで、原因遺伝子の同定を行う。原因遺伝子であることの証明はBACもしくはFosmidを用いたレスキュー実験で表現型の回復の有無を持って行う。また、塩基配列を決定することで原因変異を同定し、表現型の原因を解明する。同定した遺伝子もしくはそれが関わる遺伝子カスケードを阻害剤により攪乱して鰭条間隔に対する影響を調べる。また、原因遺伝子から考えられるTuring波をin situやレポーターなどを用いて検出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ビーズの移植実験が思うように行かず、これを断念したために当初の計画よりも使用する金額が少なくなった。 次年度は最終年度であるため、学会発表を精力的に行うために使用する。
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