2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経接合部の階層縦断的運動計測による情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
24770147
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
関口 博史 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (00401563)
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Keywords | 1分子計測 / ナノ結晶 / 分子内運動 / 構造変化 / 揺らぎ |
Research Abstract |
生体システムの情報伝達では様々な分子および分子群がきわめて動的に機能していると想像されるが、それらの情報取得が困難であるため、そのメカニズムについての知見は充分ではない。本研究課題では、情報伝達に関わる受容体・膜タンパク質についての1分子内ダイナミクスとそれらのクラスタリング過程といった並進的なダイナミクスを、時間スケール縦断的に計測する実験手法を開拓する。 神経伝達に重要な役割を担っているアセチルコリン受容体(nAChR)や他のリガンド作動性5量体膜タンパク質を対象としてX線1分子追跡法による高時間分解ダイナミクス計測(50~100μs/f)を行った。nAChRでは、アゴニスト受容に伴って結合サイトのねじれ運動と傾き運動の2つの回転軸の運動が活性化されること、またアンタゴニストが作用することでこれらの運動が不活性化されることがわかった。さらに、X線1分子追跡法のプローブとなる金ナノ結晶の大きさ依存的な回転運動速度分布から、真の回転速度が見積もれることを示した。 また、X線1分子追跡法のプローブである金ナノ結晶の可溶化および機能化に取り組み、PEGコーティングあるいは抗体修飾する等の化学修飾を行うことで可溶化を実現した。界面活性剤なしに金ナノ結晶を可溶化することは脂質膜上で機能する膜タンパク質のダイナミクスを計測する点において有用である。さらに市販されている量子ドットの中にビデオレートのX線1分子追跡法のプローブとして利用可能な種類があることを見出した。量子ドットの蛍光観察による並進運動計測とX線1分子追跡法による1分子内回転運動計測を同期して行えるプローブとして期待できる。
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