2014 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧電子線トモグラフィー法によるマウス胚ノード繊毛構造と回転方向制御機構の解明
Project/Area Number |
24770209
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
篠原 恭介 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (20527387)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 繊毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度はコンピューターシミュレーションによりマウス胚ノード繊毛が一方向に回転運動するために必要な条件を明らかにした。前年度までに得られた電子線トモグラフィーで計測した繊毛軸糸微小管の3次元位置情報を元に精密な計算格子を作製した。各微小管の間にダイニンによる滑る力を発生させた際の軸糸の変形と繊毛先端の軌跡を有限要素法により解析する事で、実験データに基づき繊毛運動のパターンを可視化した。コンピューターシミュレーションの結果微小管の規則正しい配置が維持されている生理的な状況下では一方向への回転運動が観察されたが、微小管の配置が乱れるタキソール処理胚とinv変異胚では方向性が一定に定まらない運動パターンが観察された。最終年度のシミュレーション結果とこれまでの繊毛運動観察および電子顕微鏡による繊毛の構造解析を総合すると、マウス胚ノード繊毛が一方向に回転運動するためには軸糸内の9本の微小管が50 nm以下の等間隔で円周上に配置されている必要があるという事が明らかとなった。 今回の研究によって繊毛が一方向に安定に回転運動するしくみが明らかとなったが、一方で繊毛が時計回りに回転するしくみについては未だ不明である。繊毛の駆動力を発生するダイニンの基部は微小管の決まった方向にしか結合しないため、この問題は繊毛微小管の鋳型となる基底小体を構成する3種類の微小管の方向性の制御の原理に行き着く。今後、新規変異体の解析や基底小体の詳細な構造解析を通じてこの問題にアドレスしていきたい。
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