2012 Fiscal Year Research-status Report
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24770219
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
塩井 剛 独立行政法人理化学研究所, 変異マウス開発ユニット, 専門職研究員 (60391968)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | レポーターマウス / ライブイメージング / 全胚培養 |
Research Abstract |
前後軸形成に重要な役割を担うと考えられているDVE/AVE細胞のheterogeneityについて、DVEに発現することが明らかになっている遺伝子に対する抗体を用いた免疫染色法によって解析を行った。DVEにおいては、Cer1とLefty1を発現する細胞は一致していた。HexはCer1とLefty1を発現している細胞に加え、さらに広い範囲で発現が認められた。Otx2はHexよりさらに広い範囲で発現していた。Dkk1はOtx2を発現している細胞群の中でもproximalの細胞で発現していた。以上の結果を言い換えると、Otx2を発現している細胞群の中に、Cer1、Dkk1、Hex、Lefty1を発現している細胞は全て含まれることになる。興味深いことに、DVE形成期直前にはOtx2とDkk1のみが非対称に発現していた。Otx2のレポーターマウスの作成は成功し、内在性の発現と同様に、レポーター遺伝子の非対称な発現が確認できた。Otx2とDkk1の非対称な発現と将来の前後軸の関連性を、これらのレポーターマウスをライブイメージングすることで明らかに出来ると考えている。 また、全胚培養の実験系で、全ての細胞核に蛍光タンパク発現するマウスを用いてライブイメージングを行い、visceral endodermの細胞挙動を解析し始めている。現在までに次のことが明らかになった:(1)姉妹細胞の分裂は同調している、(2)姉妹細胞は隣り合うように位置する、(3)DVEよりproximalに存在する将来のanteriorに位置する細胞群もDVEと同様に胚のlateral側へと移動する、(4)将来のposteriorに位置する細胞群は移動しない。以上の細胞挙動には、これまでの報告と一致しないものや報告されていないものが含まれており、新しい知見になる可能性が大いに見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DVE/AVEに発現する遺伝子産物の抗体を収集・作成し、組織染色に適しているものを揃えることが出来た。それらを使い、DVE/AVE細胞のheterogeneityを明らかにすることが出来た。さらに、DVE形成期に非対称な発現をする遺伝子として、Otx2とDkk1を同定することが出来た。これは大きな発見である。DVE/AVEに発現する遺伝子のレポーターマウスの作成も順調に進んでいる。特に、Otx2のレポーターマウスは、内在性の発現と同様にレポーター遺伝子が非対称に発現することが確認できた。加えて、他研究者が論文発表しているレポーターマウスも入手することができ、過去の他研究者のデータを検討できる体勢が整った。これらは計画以上の進展である。また、ライブイメージングに適した全胚培養の系を確立し、実際に、その系を用いてライブイメージング実験も開始している。胚の発生具合をRT-PCRや免疫染色による遺伝子発現で確認したところ、正常発生を反映していることを確認できた。次年度の計画を進めるに十分な状態である。 一方、期待していた結果が得られなかった実験もある。epiblast 特異的なレポーターマウスがまだ出来ていない。Sox2プロモーターを使ったトランスジェニックマウスは幾ラインか得られたが、いずれも蛍光強度が弱く、ライブイメージングに適したラインは得られなかった。手法を変え、既存のSox2-Creと、所属研究室で作成されたR26R-H2BEGFPを交配させて、epiblast特異的な標識を試みたが、標識される細胞の数にばらつきが多く、蛍光強度も十分でなかった。また、生きている胚を染める様々な蛍光色素を試したが、いずれも、目的の細胞内小器官を染めないもの、発生に悪影響を与えるもの、褪色が著しく早いもののいずれかに該当し、レポーターマウスの代わりとして使える色素はまだ見つかっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく発見された事実・現象の確証を得るため、サンプル数を増やす。同時に、申請時の計画等を遂行することにより、新しく発見された現象のメカニズム解明を目指す。主な計画は次の通りである。 1、レポーターマウス作成 DVEに発現する遺伝子のレポーターマウスについて、内在性の遺伝子発現と比較し、レポーターマウスとして使えるかどうか調べる。また、VE特異的なレポーターマウスは作成できたが、epiblast特異的なレポーターマウスの作成はまだ成功していない。全細胞核に蛍光タンパクを発現するレポーターマウスをライブイメージングしたところ、epiblastの細胞核はVEに比べ蛍光強度が弱く観察された。遺伝子発現量の問題ではなく、VEの蛍光の影響などの光学的な問題が関係している可能性がある。やはり、epiblast特異的なレポーターマウスの作成が必要である。Oct-3/4などの他遺伝子を使って、epiblast特異的なレポーターマウスの作成を試みる。 2、ライブイメージングによる解析 各種レポーターマウスを用いて、ライブイメージングを行い、発生過程を通じてどのような変化が胚に起きているか解析する:(1)DVE/AVEを形成する細胞群をラベルするとともに、それ以外のVE細胞も同時にラベルし、タイムラプス撮影を行う。得られた画像データを元に4次元解析を行い、将来形成される前後軸とVE全体の細胞分裂・移動の間にある法則性を探る。(2)DVEに発現する遺伝子の各レポーターマウスのタイムラプス撮影を行い、DVE/AVEの細胞が、それぞれ発現する遺伝子によって挙動に違いがあるか解析する。(3)VE特異的なレポーターマウスとepiblast特異的なレポーターマウスを同時に使い、VEとepiblastの細胞を明確に区別しながら、それぞれの細胞挙動にどのような関連性があるか明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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[Presentation] Reporter Mouse Lines for Live Imaging2013
Author(s)
Takaya Abe, Hiroshi Kiyonari, Go Shioi, Kenichi Inoue, Kazuki Nakao, Shinichi Aizawa, Yasuhide Furuta and Toshihiko Fujimori
Organizer
The 10th NIBB-EMBL Symposium 2013: Quantitative Bioimaging
Place of Presentation
Okazaki Conference Center(愛知)
Year and Date
20130317-20130319
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