2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24770234
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
郡山 尚紀 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (50416278)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | チンパンジー / 人獣共通感染症 / マハレ山塊国立公園 / ヘルペスウイルス / 百日咳 / パラインフルエンザウイルス / タンザニア |
Outline of Annual Research Achievements |
タンザニアマハレ山塊国立公園においてMグループと呼ばれる60頭ほどの群れを対象として、ヒトからチンパンジー(Pan troglodytes)に感染し、その生命を脅かすヒト由来人獣共通感染症について検索を行った。非侵襲的にチンパンジーの糞を採材し、ヒト由来感染症の感染歴を調べ、さらに直接的に病原体の感染の有無を調べる事によりその感受性及びグループ内での伝播の強さについて分析を行った。 分析は、2013年2月のものと本年度2014年8月に採材したものを用いて比較検討を行った。ELISA法を用いて測定したIgAの回収率は2月と8月で60%~85%で、IgGは2月と8月で62.5%~80%の回収率であった。続いて、Kooriyama et. al. (2012) を参考にし、病原体に対する抗体の検出を試みた。その結果、呼吸器系感染症の中では百日咳菌が25~88%陽性であり、パラインフルエンザウイルスでは時期によって3~94%の感染率であった。これらは小児で問題となるが、野性チンパンジーにおいては初めての報告である。単純ヘルペスウイルスにおいて0~75%の陽性率があり、サイトメガロウイルスでは0~100%、EBウイルスでは46~100%、帯状疱疹水痘ウイルスでは0~80%陽性であった。季節や抗体のタイプにおいて陽性率が異なっていたが、これは糞中に排出される抗体の分泌様式が影響していると考えられた。ヘルペスウイルス科のウイルスはチンパンジー由来の可能性が残された。 次に糞中に含まれる病原体微生物の遺伝子を調べた結果、線虫類やアメーバ属の遺伝子が検出された。これはすでに報告した結果に一致する。一方、ヘルペスウイルス科およびアデノウイルス科は検出できなかったが、これは免疫による排除が起こっていた可能性があり、症状を示した個体が見られなかったことと一致した。 今回ヒト由来感染症の感染歴が見つかったことから、今後はそれらの病原体がどの程度脅威であるのか検証する必要があろう。
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Research Products
(2 results)