2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24780076
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
井上 謙吾 宮崎大学, IR推進機構, 助教 (70581304)
|
Keywords | 鉄還元細菌 / 芳香族化合物 / ダイオキシン / 嫌気性細菌 / 環境汚染物質 / 分解微生物 / 環境浄化 / 分解系遺伝子 |
Research Abstract |
ヘテロ環を有する多環芳香族化合物分解能力を持つ鉄還元細菌を取得するため、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェンのいずれかが唯一のエネルギー源・電子供与体、不溶性の酸化鉄(III)が唯一の電子受容体となるよう調製した培地に自然界から採取した土壌、河川底泥、下水などを植種源として添加し、嫌気条件下で集積培養を行った。集積培養後のサンプルから嫌気的に調製した寒天プレートにて微生物を単離し、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジゼンゾフラン、それぞれ10、1、1株ずつの分解菌候補を得た。嫌気性カルバゾール分解菌のうち旺盛に生育できる1株は、嫌気的に調製したカルバゾールを含む寒天プレート(カルバゾールは水溶性が低いため白濁する)においてコロニーの周りにクリアゾーンを形成するため、嫌気条件下においてもカルバゾール分解性を持つことが示された。また、本株はカルバゾール以外にも硫酸還元培地やトルエン、ベンゼン、乳酸を唯一の電子供与体とした培地でも生育が観察された。その株の16S rRNA配列を決定し、属種を同定した後、同じ属種の標準株(16S rRNA配列は100%一致)はカルバゾール分解能力を持たないことを確認した。さらに現在は次世代シーケンサーを用いて全ゲノム配列を決定を行っており、標準株との比較ゲノム解析から分解に関わる遺伝子の候補を探索している。今後はその候補遺伝子の破壊によるカルバゾール分解・資化能力の検証を行い、代謝系遺伝子を決定し、さらに破壊株が蓄積する中間代謝物の化学構造決定を行うなどして代謝経路を解明する。 ジベンゾチオフェン分解菌については、その16S rRNA配列を決定し、現在その分解特性や生育基質、ゲノム構造などについて解析を行っており、上記カルバゾール分解菌同様、分解系遺伝子や代謝経路の決定などを行う。
|