2012 Fiscal Year Research-status Report
マイコバクテリウム属細菌が有するユニークな酸化酵素の機能解析と応用
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24780083
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古屋 俊樹 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (20367064)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 酸化酵素 |
Research Abstract |
Mycobacterium goodii 12523株およびMycobacterium smegmatis mc2155株は、フェノールのパラ位を位置選択的に酸化してヒドロキノンに変換するユニークかつ有用な活性を有している。筆者はこれまでに、当該活性をコードする新規な酸化酵素遺伝子mimABCDを同定することに成功している。MimABCDは活性中心に二核鉄を有する酸化酵素で、とくにMimABCD等の放線菌由来の当該ファミリー酸化酵素は興味深い反応を触媒するため生体触媒への応用に期待が寄せられている。しかしながら、異種の細胞内で活性を発現させることが困難であり、このことが応用を妨げている原因の1つになっている。本研究では、MimABCDの異種発現をRhodococcus属細菌を宿主として試みた。まず、mimABCD遺伝子をRhodococcus属細菌に導入したが、酸化活性を発現させることはできなかった。SDS-PAGE解析を行ったところ、MimAタンパク質が不溶化していることを確認した。そこで、他に必要な因子の存在を考慮してM. smegmatis mc2155株のゲノム配列を精査し、mimABCDの下流に存在する遺伝子がシャペロニン様タンパク質をコードしていることを見出した。本遺伝子(mimGと命名)をクローニング後、mimABCDと共にRhodococcus属細菌に導入した。その結果、MimGの共発現によりMimAが可溶化し、フェノールに対する酸化活性を発現させることに成功した。本研究は、二核鉄型酸化酵素に特異的なシャペロニン様タンパク質の共発現により放線菌由来酸化酵素の異種発現に成功した初めての例であり、他の二核鉄型酸化酵素の異種発現にもブレークスルーをもたらす可能性を秘めているため重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、「MimGの機能解析とMimABCDの異種発現」の実施を計画していた。 筆者は、MimGタンパク質の機能をSDS-PAGEおよびウエスタンブロッティングにより詳細に解析し、MimGはMimAタンパク質の可溶化発現、つまり立体構造形成に寄与していることを明らかにした。さらに、mimG遺伝子とmimABCD遺伝子を導入したRhodococcus opacus B-4株の培養方法等を検討し、MimABCDの効率的な発現条件を確立した。その結果、組換え株のヒドロキノン合成活性は最大で0.80μmol/g-dry cell weight/minに達した。 以上より、当初の計画を達成できており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書の計画に沿って、「mimABCDのアセトン代謝における機能の解析」と「mimABCDの生体触媒への応用」を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額はわずかであり(3,476円)、次年度の物品費(消耗品費)として有効に活用する。
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