2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイコバクテリウム属細菌が有するユニークな酸化酵素の機能解析と応用
Project/Area Number |
24780083
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古屋 俊樹 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (20367064)
|
Keywords | 酸化酵素 / 放線菌 / 異種発現 / シャペロニン / 生体触媒 |
Research Abstract |
Mycobacterium goodii 12523株およびM. smegmatis mc2155株は、フェノールのパラ位を選択的に酸化してヒドロキノンに変換するユニークかつ有用な活性を有している。筆者はこれまでに、当該活性が二核鉄型酸化酵素遺伝子クラスターmimABCDにコードされていることを同定している。MimABCD等の放線菌由来の当該ファミリー酸化酵素は工業的に有用な反応を触媒するため生体触媒への応用に関心が寄せられているが、異種の細胞内で活性を発現させることが困難であり、このことが応用を妨げている原因の1つになっている。昨年度までの研究において、MimAの可溶化発現にはシャペロニンタンパク質MimGが必要なことを明らかにし、MimGを共発現させることによりMimABCDの活性を放線菌Rhodococcus opacus内で発現させることに成功している。本年度は、属種の大きく異なる大腸菌を宿主とした異種発現に挑戦した。大腸菌発現のメリットとして、菌体の増殖速度が高いことや高発現システムが整っていることが挙げられ、生体触媒への応用に向けて高いポテンシャルを有している。mimABCDおよびmimGを各遺伝子に分割して3種のベクターに連結し、大腸菌に導入した。その結果、MimGとの共発現によりMimAタンパク質が可溶化し、大腸菌細胞内においても活性型のMimABCD複合体を再構成することができた。また、大腸菌細胞内においてはカップリングプロテインMimDの発現量が著しく低かったが、mimDのコドンを大腸菌用に最適化することにより発現量は改善され、フェノールのヒドロキノンへの変換活性も11倍に向上した。さらに、本組換え大腸菌を利用してMimABCDのアセトン代謝における機能を解析したところ、MimABCDはアセトンをアセトールに変換する活性を有していることが強く示唆された。
|