2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24780091
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐分利 亘 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00598089)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ホスホリラーゼ / 基質特異性 / オリゴ糖合成 / Ruminococcus albus / マンナン / マンノオリゴ糖 / 加リン酸分解 |
Research Abstract |
本研究では,偏性嫌気性細菌Ruminococcus albusに見出した新規な構造と機能を持つ二つのβ-1,4-マンノシルグルコースホスホリラーゼアイソザイム (I型とII型)の生化学的機能の解明と機能発現に重要な構造因子の決定を目的とした。本年度は大腸菌による組換え酵素の生化学的機能解析を実施した。二つの組換え酵素をそれぞれ電気泳動的に単一になるまで精製した。両酵素は共にpH 6.5で最大活性を示した。ゲル濾過とSDS-PAGEによる解析によりI型酵素は2量体,II型酵素は6量体であることが判明した。β-1,4-マンノシルグルコースの加リン酸分解反応の反応速度論的解析から,両酵素がいずれもランダム機構により加リン酸分解を触媒することを明らかにした。マンノース1-リン酸を糖供与体,様々な糖質を受容体として合成反応を行い,無機リン酸の遊離量から合成活性を評価した。I型酵素は天然の糖質ではグルコースとキシロースに合成活性を示したが、グルコースに対する活性の方が圧倒的に高かった。このことから本酵素はβ-1,4-マンノシルグルコースに特異的な酵素と考えられた。一方,II型酵素についてはグルコースよりセロビオースやマンノビオースのようなオリゴ糖を良い受容体とした。またII型酵素は3糖以上の重合度のマンノオリゴ糖に対してβ-1,4-マンノシルグルコースに対するよりも高い加リン酸分解活性を示した。このことから、II型酵素はマンノオリゴ糖の加リン酸分解を担う新規な糖質ホスホリラーゼであることが明らかになった。これらのことから,マンノオリゴ糖の代謝経路を推定した。すなわち,II型酵素によるマンノオリゴ糖の加リン酸分解,セロビオース2-エピメラーゼによるマンノビオースの異性化(β-1,4-マンノシルグルコースの生成),I型酵素によるβ-1,4-マンノシルグルコースの加リン酸分解,である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,Ruminococcus albusの二つのβ-1,4-マンノシルグルコースホスホリラーゼアイソザイムの組換え酵素の調製と酵素機能の解析を計画していた。両酵素遺伝子をR. albusのゲノムDNAを鋳型としたPCRによりクローニングして,大腸菌による組換え酵素生産系を構築した。二つの酵素については,当該発現系を利用することで解析に十分な量の精製酵素を調製することが可能となった。これらの酵素の生化学的機能解析を実施し,計画通り基質特異性を中心とした生化学的性質を明らかにした。すなわち,I型酵素がβ-1,4-マンノシルグルコースに特異的な加リン酸分解酵素であること,II型酵素が当初β-1,4-マンノシルグルコースホスホリラーゼと思われていたが,マンノオリゴ糖に高い活性を持つ新規な糖質ホスホリラーゼであることを明らかにした。I型酵素とII型酵素の機能的相違については,本年度の解析を通じて得られた非常に興味深い知見であった。以上のことから,二つのアイソザイムの生化学的アイデンティティを与えることができたため,本年度の目標は十分に達成できたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
β-1,4-マンノシルグルコースホスホリラーゼの機能発現に重要な構造因子の特定と解析を行う.本酵素は新規な構造を持つ酵素であるため,活性中心も現時点では不明である。このため,I型酵素をモデルとして活性残基の決定を行う。β-1,4-マンノシルグルコースホスホリラーゼはα-マンノース1-リン酸を生じることから,アノマー型の反転を伴う加リン酸分解反応を触媒する反転型ホスホリラーゼである。このような反転型ホスホリラーゼは一般酸触媒として機能するアミノ酸残基が唯一の触媒残基として働く。まずはこの一般酸触媒残基を特定する。I型酵素とII型酵素のホモログのアミノ酸配列を多重整列し,完全に保存された酸性アミノ酸残基を特定する。特定された酸性アミノ酸残基を置換した変異酵素を作製し,活性の減少から触媒残基を決定する。次にI型酵素とII型酵素の基質特異性の違いを生じる構造因子を決定する。生化学機能は未知だが立体構造情報が利用できるThermotoga maritima由来TM1225タンパク質の立体構造情報を利用し,基質結合部位と推定されるポケット様構造を構成するアミノ酸残基をI型酵素とII型酵素間で詳細に比較する。I型酵素とII型酵素で明確に異なるアミノ酸残基をピックアップし,I型酵素のアミノ酸残基をII型酵素型に置換した一連の変異酵素を作製し,基質特異性を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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[Journal Article] Metabolic mechanism of mannan in a ruminal bacterium, Ruminococcus albus, involving two mannoside phosphorylases and cellobiose 2-epimerase: discovery of a new carbohydrate phosphorylase, β-1,4-mannooligosaccharide phosphorylase2012
Author(s)
Ryosuke Kawahara, Wataru Saburi, Rei Odaka, Hidenori Taguchi, Shigeaki Ito, Haruhide Mori, Hirokazu Matsui
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Journal Title
Journal of Biological Chemistry
Volume: 287
Pages: 42389-42399
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] urification and characterization of a liuefying α-amylase from alkalophilic termophilic Bacillus sp. AAH-312012
Author(s)
Daehoon Kim, Naoki Morimoto, Wataru Saburi, Atsushi Mukai, Koji Imoto, Toshihiko Takehana, Seiji Koike, Haruhide Mori, Hirokazu Matsui
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Journal Title
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
Volume: 76
Pages: 1378-1383
Peer Reviewed
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