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2013 Fiscal Year Research-status Report

山体の水理地盤構造の実態解明に基づく斜面崩壊発生機構の検討

Research Project

Project/Area Number 24780150
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

山川 陽祐  筑波大学, 生命環境系, 助教 (20611601)

Keywords基岩地下水 / 付加体堆積岩 / 降雨流出 / 斜面崩壊 / 水理地質構造
Research Abstract

昨年度に引き続き,堆積岩地質の流域(滋賀県比良山系)において,湧水量観測を主とする水文調査を実施し,山体の水理・地質構造の解明に向けた原位置データの取得および解析を行った。比高差約400mの観測斜面には,標高の異なる湧水が合計15地点程存在し,断層粘土が上流からの地下水流動を遮水することにより湧水が形成されていると考えられた。斜面上に掘削されたボーリング孔内の地下水面および湧水点を結んだ推定地下水面に明瞭な段差があることは,この地下水流動機構を支持するものである。斜面中腹の湧水は降雨応答が緩やかで基底流量が多く,斜面脚部の湧水は降雨応答が鋭敏で比較的早い流出が卓越していた。中腹の一つの湧水点では流出量が,その直上(水平距離約40m)に掘削したボーリング孔内の水位と明瞭な相関(流出量が水位の2乗に比例)を示し,基岩地下水の貯留量が流出量を大きく規制する可能性が示された。中腹に位置する湧水群のハイドログラフはそれぞれ概ね類似し,脚部の湧水に比べて基底流出成分が豊富であった。斜面縦断方向に配列する中腹湧水と脚部湧水のハイドログラフのピークには3日程度の時間差があり,斜面縦断方向についてある程度分断された地下水流動機構を持つことが推定された。中腹の湧水群間についても,流出波形のピークは1~2日程度の時間差があった。さらに,湧水間で流量増加や逓減の特徴に違いが認められた。基底流成分が豊富な中腹湧水群についてもそれぞれある程度分断された地下水流動機構を有すると考えられた。また,中腹湧水群の年間水温変動は概ね10~13℃であり,脚部湧水群に比べて極めて安定しているが,中腹湧水群の間でも変動幅の差が顕著であった。観測斜面において異なった賦存量や深度を持つ複数の地下水帯が存在すると考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

堆積岩地質の流域においては,流域・斜面の水文プロセスについて,特に基岩深部を介する地下水流動が斜面崩壊に与える影響が大きいことに着目して,基岩湧水の湧出量の観測およびを基岩ボーリング孔の水位観測を進めているところである。これらの水文観測については,欠測の少ない高精度のデータを継続的に取得出来ている。基岩湧水量と基岩地下水位の相関が明瞭であることから,基岩地下水の貯留量が流出量を大きく規制する可能性が示された。湧水量の流出波形や水温変動から,面積約0.4km2の同一斜面において分断された複数の地下水帯が存在し,それぞれの地下水帯の涵養域の大きさや流入・流出プロセスが異なる可能性が示唆された。これらは,選択的な箇所で崩壊が発生するメカニズムの解明に向けて,重要な原位置データと考えられ,現場観測の面については順調に課題を遂行できている。

Strategy for Future Research Activity

堆積岩流域の湧水箇所においては,水温および電気伝導度の観測を行っており,基岩内の水挙動の不均一性をより詳細に理解するために今後これらの解析を進める必要がある。また,湧水および雨水の水安定同位体比の観測も引き続き進めて行く必要がある。一方,降雨に起因する斜面崩壊の発生メカニズムの理解という側面については,特に大規模な降雨時の地下水流動を高精度に観測する必要がある。現時点においては観測事象が少ないため,豪雨時においても欠測が無いように水文,水質の観測を進めることが重要である。また,花崗岩流域および堆積岩流域において,地下水流動機構のモデル化および斜面安定性の評価に関する解析を進める計画である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

今年度に計画していた水質分析(水安定同位体比,金属イオン濃度)の一部が予定通り遂行できず,これに関わる分析用の備品購入や実験補助の人件費としての経費執行が出来なかったため。
原位置での水文・水質観測を引き続き行うために使用する。水質分析装置のカラム,サンプルボトル,バイアル瓶,試薬を購入する。また現場観測補助および水質分析の実験補助の人件費として経費を計上する。また,研究成果発表のための論文投稿費,英文校閲費,および学会参加のための旅費を計上する。

  • Research Products

    (4 results)

All Other

All Presentation (4 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 山体水理構造の解明に向けた比抵抗探査法の適用

    • Author(s)
      山川陽祐,松四雄騎,正岡直也,小杉賢一朗,水山高久
    • Organizer
      第124回日本森林学会大会
    • Place of Presentation
      岩手大学
  • [Presentation] Combination use of electrical resistivity imaging and a new combined penetrometer-moisture probe for measuring water content distribution in hillslopes

    • Author(s)
      Yosuke Yamakawa, Naoya Masaoka, Ken'ichirou Kosugi, Takahisa Mizuyama
    • Organizer
      European Geosciences Union General Assembly 2013
    • Place of Presentation
      Austria Center, Vienna, Austria
  • [Presentation] 大起伏堆積岩山地における水理地質構造把握の試み

    • Author(s)
      山川陽祐,松四雄騎,小杉賢一朗,正岡直也,糸数哲,水山高久
    • Organizer
      平成25年度(社)砂防学会研究発表会
    • Place of Presentation
      静岡市民文化会館
  • [Presentation] Application of the electrical resistivity imaging for detecting groundwater flowing on a mountain slope

    • Author(s)
      Yosuke Yamakawa, Ken'ichirou Kosugi, Naoya Masaoka, Yuki Matsushi, Tetsushi Itokazu, Takahisa Mizuyama
    • Organizer
      International seminar on sediment disasters caused by deep landslides
    • Place of Presentation
      Wood Composite Hall, Kyoto, Japan
    • Invited

URL: 

Published: 2015-05-28  

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