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2012 Fiscal Year Research-status Report

トラフグに寄生虫感受性をもたらすタンパク質の探索

Research Project

Project/Area Number 24780182
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

田角 聡志  東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (90359646)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords寄生虫 / 宿主特異性 / 2次元電気泳動 / トラフグ
Research Abstract

Heterobothriumokamotoiはトラフグの鰓に寄生するが、近縁種のクサフグでは寄生できない。このような感受性の違いはこれら2種の鰓に存在するタンパク質の種類や量の違いによってもたらされていることが想定される。そこで、2次元電気泳動によるタンパク質発現パターンの違いや、サブトラクション法による遺伝子発現量の差を検出することによって、そのような分子の探索を行うこととした。
はじめに2次元電気泳動に供するサンプル調製法を検討し、膜タンパク質を含むと考えられる画分を得た。これをpH3-10のアガロースゲルを用いた等電点電気泳動で分離後、5-20%のグラジェントゲルを用いたSDS-PAGEにより展開を行った。まずトラフグ、クサフグ各3個体からそれぞれサンプルを調製して2次元電気泳動に供し、各種内における個体差の有無について検討を行った。その結果、いずれの種の場合でもスポットのパターンに大きな個体差は認められないことが示された。このことから種間の比較を行う場合には任意の個体由来のサンプル同士を用いても問題ないと考えられたが、念のため各種3個体ずつからサンプルを調製し、等タンパク質量を混合したものを用いることとした。このようにして両種のスポットのパターンを比較したところ、ほとんどのタンパク質のスポットが一致していたが、それぞれの種に特異的に認められるスポットが複数個存在することが明らかとなった。本年度はクサフグ特異的な1スポットとトラフグ特異的な5スポットについて、トリプシン消化産物をMALDI-TOF/TOFで分析することで同定を試みた。その結果、クサフグの1スポットとトラフグの5スポットについて同定に至った。
サブトラクション法ではこれまでに計350個の、トラフグあるいはクサフグ特異的な部分配列の候補配列を得ることができ、真の陽性と確認されたクローンも得られた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度はまず2次元電気泳動の条件についての知見が得られた。また、さらに実験条件を検討をしなければならない部分があることも明らかとなってきた。本年度得られた、トラフグとクサフグの間で存在量の異なる鰓由来タンパク質スポットのいくつかに関して、同定に至ったとともに、同定できなかった2スポットに関しても内部部分アミノ酸配列が得られていることから、分子生物学的手法によって全長の配列を決めることで同定できそうである。このように、2次元電気泳動法と質量分析計による解析を組み合わせるという方法がトラフグの場合でも有効であることが明らかとなった。
このような研究結果は、本年度研究をさらに進めていく上で不可欠なものである。また、このような現状は、研究計画策定時に想定していた通りの進捗状況であるため、おおむね順調に進展しているものと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

本年度は2次元電気泳動によってトラフグとクサフグの種間で存在量に違いのあるタンパク質の同定が行えることが確認された。本年度は分離pHおよび分子量範囲を狭めることで、さらに多くの違いのあるスポットを得る。これと並行して質量分析計によるタンパク質の同定を行ってゆくことで、寄生虫特異性と関与しうる候補タンパク質の数を増やしてゆく。
また、昨年度は特に膜タンパク質に絞って実験を進めてきたが、本年度は可溶性タンパク質にも範囲を広げて、種間で存在量の異なるタンパク質の同定を目指してゆく。
これらとは別に、トラフグ鰓由来タンパク質をビオチン化したエラムシHetrerobothrium okamotoi由来のタンパク質と反応させ、アビジンを利用した免疫沈降を行うことで、相互作用するタンパク質を生化学的手法によっても得ることを目指す。
このようにして得られた候補タンパク質を細胞表面ディスプレイ法によって昆虫細胞表面に発現させ、H. okamotoi由来のタンパク質と実際に結合しうるかどうかについて検討を行う。さらに、組み換えタンパク質を作製してこれらを寒天片に吸収させ、マイクロプレートのウェル内にH. okamotoiの幼生とともに加えて幼生が誘引されるかどうかを調べる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

2次元電気泳動に必要な試薬類の購入に使用する。また、生化学的実験に用いる試薬類の購入にも使用する。一方、質量分析計によるタンパク質の同定は外注にて行うため、これらの分析に多くの部分を使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] トラフグとクサフグの鰓において存在量の異なる膜タンパク質の単離2013

    • Author(s)
      田角聡志・山口晶・筒井繁行・ 中村修・菊池潔・鈴木譲
    • Organizer
      平成25年度日本水産学会春季大会
    • Place of Presentation
      東京海洋大学(東京)
    • Year and Date
      20130326-20130330
  • [Presentation] トラフグとクサフグの鰓において発現量の異なる遺伝子単離の試み2012

    • Author(s)
      田角聡志・菊池潔・鈴木譲
    • Organizer
      平成24年度日本水産学会秋季大会
    • Place of Presentation
      独立行政法人水産大学校(下関)
    • Year and Date
      20120914-20120917
  • [Presentation] Candidate key molecule(s) determining host specificity of parasite on fugu, Takifugu rubripes2012

    • Author(s)
      S. Tasumi, A. Yamaguchi, Y. Hirabayashi, S. Kido, K. Kobayashi, W. Kai, S. Hosoya, S. Tsutsui, O. Nakamura, H. Suetake, K. Kikuchi, Y. Suzuki
    • Organizer
      The 12th Congress of ISDCI
    • Place of Presentation
      ヒルトン福岡シーホーク(福岡)
    • Year and Date
      20120709-20120713

URL: 

Published: 2014-07-24  

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